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 茨城県は「立会人型」と呼ばれる電子契約を導入する。契約の相手方となる企業はクラウドを利用してペーパーレスで遠隔地からでも契約を締結できるうえに印紙代も削減できる。ただし広く普及するには、様々な電子契約サービスを自治体側で選択できるようにする必要がある。

 茨城県が導入するのは弁護士ドットコムの「クラウドサイン」。2021年3月に企業からの提案書を募って審査する「公募型プロポーザル方式」によって選定した。2021年3月には新潟県三条市がGMOグローバルサイン・ホールディングス(HD)の電子契約サービスを導入した。同社によると、立会人型の電子契約サービス導入は三条市が初めてという。全国の自治体は相次ぎ押印廃止を打ち出しており、押印の代わりとして電子契約の導入に弾みがつきそうだ。

 立会人型とは電子契約サービス会社が契約の当事者を認証し、電子契約サービスのシステムがいわば「立会人」として電子署名を使う。事業者型やクラウド型とも呼ばれる。自治体と契約する企業は電子署名を使わないので電子証明書を取得する必要がない。インターネットを利用できる環境があれば電子契約を締結できる手軽さがある。

「グレーゾーン解消制度」の回答が応募要件という壁

 自治体がこれまで電子契約を利用していなかった背景には、地方自治法の規制があったためだ。自治体が企業と電子契約を結ぶには、厳格な本人確認をして発行された電子証明書を使った電子署名しか利用できなかった。立会人型の電子契約サービスが利用できるか不明確だった。

 茨城県などは2020年11月に開催された政府の規制改革推進会議デジタルガバメントワーキング・グループで、自治体が立会人型電子契約サービスを利用できるよう要望していた。これを受けて総務省は2021年1月に地方自治法の施行規則を改正し、立会人型電子署名も利用できるように規制を緩和した。

茨城県が規制改革推進会議のデジタルガバメントワーキング・グループに提出した要望
茨城県が規制改革推進会議のデジタルガバメントワーキング・グループに提出した要望
(出所:茨城県、内閣府)
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 しかし電子契約が今後自治体に広く普及するには課題がある。茨城県は公募に当たって電子契約サービスが「グレーゾーン解消制度」によって電子署名に該当するサービスだとする回答を得ていることを要件にしたからだ。それ以外の電子契約サービス会社は公募プロポーザルへの応募資格がなかった。