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 マツダが、かつての名車の復活に力を入れている。現存する「NAロードスター(初代ロードスター)」を新車同様によみがえらせる「NAロードスターレストアサービス」は、2017年末の開始から50件もの申し込みを集め、同社はこれまで8台をレストアし、まもなく9台目を世に送り出す(図1)。ロータリーエンジン車「RX-7」(2代目「FC」と3代目「FD」)については、走らせ続けるための部品を復刻生産すると20年12月に発表し、当初91点の部品から再供給を開始した。

「CLASSIC MAZDA」でレストアしたNAロードスター
「CLASSIC MAZDA」でレストアしたNAロードスター
(出所:マツダ)
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部品を復刻生産する「RX-7」
部品を復刻生産する「RX-7」
(出所:マツダ)
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 NAロードスター(販売期間は1989~98年)もRX-7(FCが同85~92年、FDが同91~2003年)も、20~30年前のクルマだが現在もなお多くのユーザー(オーナー)が乗り続けている。これらのレストアや部品復刻を手掛けるサービス事業「CLASSIC MAZDA」は、マツダにとってはユーザーとのつながりを大事にすると同時に「新車販売だけに頼らない事業モデルを目指した戦略的な取り組み」(商品本部ロードスターアンバサダーの山本修弘氏=元ロードスター主査)である。

 価格設定は、NAロードスターレストアサービスの場合で254万7000円(税込み、以下同)から約500万円まで。最低でも新車購入価格並みの費用がかかるが、それでも多くの希望者が順番を待っている状況だ。

 クルマや部品といったハードを手に入れるだけなら、中古車を購入するほうが安い。これだけの費用を支払うユーザーは明らかに、自分のクルマに愛着を持って乗り続けたい人たちだ。このサービスで提供するのは愛着(同社は「感情的価値」と呼ぶ)であり、ハードはそのための手段であるとはっきりしている。そういう点では、新車よりむしろ、ものづくりの原点に近い活動といえる。

 ただし、新車と完全に同じものを提供しさえすればよいわけではない。いかに愛着があるといっても、ユーザーが支払える金額には限度がある。CLASSIC MAZDAは、現在の技術や設備で合理的に提供でき、事業として成立する方法を同社が数年間かけて模索した結果だ。