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 多くの企業や組織でDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めている。そのDXに必要なAI(人工知能)やデータサイエンスなどのスキルを持つ先端領域のIT人材、いわゆる「DX人材」が不足しているといわれている。経済産業省の委託を受けて調査を実施したみずほ情報総研によれば、今後IT市場が年率2~5%で伸びていき労働生産性が年率0.7%で上昇していくと2030年にDX人材が54.5万人も不足するという。

 企業はDX人材を確保するためにどのような手を打てばよいのか。DX人材の争奪戦が激化する中、IPA(情報処理推進機構)はある調査の報告で、DX人材不足を緩和する意外な方法を示した。

非DX人材の4割がDXへの転換志向を持つ

 IPAが2021年4月22日に公開した「デジタル時代のスキル変革等に関する調査」の報告によれば、IT企業の事業部門やユーザー企業の情報システム部門などに所属するIT人材のうち、DX人材でないIT人材の41.8%が「転換志向」を持っているという。転換志向とは、新しいスキルを身に付けてDX人材への転換を希望している人材である。IPAは、この転換志向の人材がDX人材の予備軍になるとしている。つまり、転換志向のIT人材をDX人材に転換させればDX人材不足の緩和につながるというわけだ。転換志向の人材がDX人材の「鉱脈」になる可能性がある。

IT人材転換タイプの分類
IT人材転換タイプの分類
(出所:情報処理推進機構)
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 とは言え、転換志向を持っているだけでDX人材に必要なスキルが身に付くわけではない。今回の調査ではIT人材の学習意欲も調べている。転換志向の人材のうち、スキル習得の必要性について「強くそう思う」と答えた人が27.9%、「どちらかというとそう思う」と答えた人が54%いた。

転換タイプごとのスキル習得に対する意識
転換タイプごとのスキル習得に対する意識
(出所:情報処理推進機構)
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 一方、転換志向の人材の35.2%は「情報取得や学習を行っていない」と回答している。転換志向の約3分の1が具体的な行動を起こしていないが、調査報告では「きっかけや支援を与えることで先端(編集部注:DX人材)に転換する可能性を持つ」としている。

 IT人材自体が不足しているといわれて久しいが、DX人材でないIT人材をDX人材に転換させる余裕はあるのか。前述したみずほ情報総研の調査を見ると、DX人材に比べてDX人材でないIT人材の需給状況はそれほど悪くないことが分かる。IT市場の広がり具合などの条件によって変化するが、2030年にDX人材が54.5万人不足するときと同じ条件では、DX人材でないIT人材は2030年に9.7万人余るとしている。