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 米Apple(アップル)は2021年4月30日に紛失防止タグ「AirTag」を発売した。日経クロステックでは実機を購入して分解した。同タグの最大の特徴は超広帯域無線通信技術「UWB(Ultra-Wide Band)」の無線通信機能を備えること。一般的なBluetoothタグに比べて、高い精度で位置を検知できる。UWB関連の部品がどのように実装されているかを確認した。

 AirTagでは、Bluetoothを使っておおよその位置を把握したのち、UWBを使って細かな場所を探る。持ち主から遠く離れた通信圏外でも、AirTagのBluetooth信号を第三者のアップル製品が検知し、その位置情報を持ち主の端末まで中継する。紛失したAirTagを第三者が見つけた場合、その人がiPhoneやNFC対応機器を軽く当てると、持ち主があらかじめ記録しておいた電話番号などの連絡先が表示される。ストーキングなどの不要な追跡を防止する機能も盛り込んでいる。例えば、持ち主から離れて一定の期間が経過したAirTagが動かされた場合、音を鳴らして注意を促す。これにより、アップル製品を持たない人でも不審なAirTagに気が付けるようにした。

購入した「AirTag」
購入した「AirTag」
左が金属側(裏側)で、右が白い筐体(きょうたい)側(撮影:日経クロステック)
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 つまり、AirTagは無線通信機能としてNFCとBluetooth、UWBを搭載し、スピーカーも内蔵する。加えて、加速度センサーも備える。こうした部品類を直径31.9mm、厚さ8mmの筐体(きょうたい)に収めている。重さは11gと軽い。「IP67」等級の耐水・防塵(ぼうじん)性能を備える。電池は「CR2032」のコイン型で、約1年間動作する。ユーザーが電池を交換できる。

 今回、4個入りパックを購入した。パッケージはコンパクトで、4個のAirTagは観音開きのケースに格納してあった。AirTagは円盤状で、片面が樹脂とおぼしき材料を利用した白い筐体(きょうたい)で、もう片面が金属である。アップルらしい美しい外観デザインで、手触りもなめらかである。本稿では、白い筐体側を表側、金属側を裏側とする。

4個入りパッケージ
4個入りパッケージ
大きさの比較のためにとなりにペンを置いた。(撮影:日経クロステック)
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観音開きが可能なケースに4個のAirTag
観音開きが可能なケースに4個のAirTag
(撮影:日経クロステック)
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 分解するにあたり、まず、裏側から金属部分を反時計(左)に回して外して、電池を取り出した。電池にパナソニックの刻印があった。電池を取り出すと、3つの端子が見えた。

金属部分を外したところ 電池にパナソニックの刻印があった。(撮影:日経クロステック)
金属部分を外したところ 電池にパナソニックの刻印があった。(撮影:日経クロステック)
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電池を外したところ
電池を外したところ
上側に、電池と接触する端子が見える。(撮影:日経クロステック)
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 ここまでは簡単に進んだ。本格的な分解はここから始まった。電池を格納していた部分を白い筐体から外そうと試みる。ところが電池格納部と白い筐体にすき間はなく、接着材で固着されていたわけでないものの、しっかりと固定されていてなかなか外れない。そこで工具を使い、白い筐体の一部を破壊して強引に外した。

 内部を見ると、ドーナツ型のメイン基板とコイルがあった。外した電池格納部の裏側(メイン基板側)には、コイルを格納する金属部品と扁平(へんぺい)な物体がある。扁平な物体は磁石だったので、コイルはスピーカー用だろう。

AirTagの内部
AirTagの内部
ドーナツ型のメイン基板とコイルがあった。外した電池格納部の裏側(基板側)に、コイルを格納する金属部品と扁平な磁石があった。磁石とコイルはスピーカー用だろう。(撮影:日経クロステック)
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 メイン基板の裏側には、やや大きめな受動部品とわずかな半導体部品だけで、主要な半導体部品はメイン基板の表側にあった。メイン基板は黒いケースに格納され、ケースごと白い筐体に入っていた。メイン基板だけ、あるいは黒いケースごとメイン基板を取り出そうとしたが、しっかりと固定されていて取り出せない。そこで、再び白い筐体を工具で破壊しながら、黒いケースごとメイン基板を取り出した。黒いケースと白い筐体は、数カ所を接着材で固定されていたようだった。

黒いケースごとメイン基板を取り出したところ
黒いケースごとメイン基板を取り出したところ
(撮影:日経クロステック)
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