全1428文字
PR

 コニカミノルタは、連続したX線画像から肺の血管の動きを可視化する画像解析技術を開発した。肺の機能を手軽に把握できるため、肺炎などの呼吸器疾患の早期発見や患者負担の軽減につながる。同社はX線画像の解析技術の開発に注力しており、今後は肺などの呼吸器領域だけでなく、整形外科領域などにも適用範囲を広げていく。

X線動画撮影のイメージ
X線動画撮影のイメージ
(出所:コニカミノルタ)
[画像のクリックで拡大表示]

 コニカミノルタは単純X線撮影装置で動画を撮影できるシステム「KINOSIS(キノシス)」を2018年に世界で初めて製品化した。1秒間に約15回のパルスX線を最長で20秒間にわたり連続照射し、得られた画像をコマ送りで表示するとX線動画が得られる仕組み。これまでは肺の伸縮などの観察に用いられてきたが、今回新たに血管の動きを可視化する解析技術を開発した。新機能としてKINOSISに追加する。

 肺の血管は、心臓の拍動に合わせてわずかに太くなったり細くなったりを繰り返す。連続撮影した画像の解析から肺の血管1本1本の変化を数値化して、ディスプレー上に色の変化として表示する。これらの情報から医師が肺の血流の状態を推定するのに役立つと期待される。

血管の拍動を可視化する
血管の拍動を可視化する
(出所:コニカミノルタ)
[画像のクリックで拡大表示]

 血流を判断するには、造影剤を用いる「造影CT(コンピューター断層撮影装置)」や、放射性同位体を用いる「シンチグラフィー」などの画像診断が必要だった。こうした手法はアレルギーの懸念があったり放射線の被曝(ひばく)量が増加したりするといった課題がある。これに対して単純X線撮影であれば、患者の身体的な負担が少なく、手軽に検査を受けられる。

 今回開発した画像解析技術で表示できるのは、あくまで血管の動きであり、血流を推定するのは医師になる。今後は血管の動きと血流との関係について実証実験を進め、2024年度までに血流を示す医療機器として厚生労働省からの承認取得を目指す。

 この他にコニカミノルタは、X線動画として得られた肺の動きの情報を1枚の画像に落とし込み、よく動く部分と動かない部分を色分けして表示する技術も開発した。肺の組織の一部が癒着しているかどうかの判断材料になることが期待される。癒着は手術前に把握するのが難しく、手術中に見つかると剥離に余分な時間がかかるだけでなく、手術方法の変更が必要になる場合もあるという。