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 2021年4月初め、オーストラリアAtlassian(アトラシアン)のタスク管理サービス「Trello(トレロ)」を利用するユーザーの情報が閲覧できる状況にあるとして話題になった。Trelloのユーザーが、自身の管理する情報を公開設定にしていたことが原因だった。この問題によってにわかに注目が高まったタスク管理サービスだが、実はここ1年ほどの間で急速に普及しており、機能の拡充も進んでいる。

 PR TIMESの山田真輔Jooto事業部事業部長は、同社が提供するタスク管理サービス「Jooto(ジョートー)」について「2020年春以降、有料版の新規利用企業数は前年同時期に比べて9割近く増加している」と説明する。2021年2月時点のユーザー数も前年同月と比べて26.9%増えているという。Atlassianの日本法人、アトラシアンの朝岡絵里子シニアマーケティングマネージャーも「2020年3月ごろ、Trelloのサインアップ数(ユーザー登録数)が前年同月に比べて73%上昇した」という。

コロナ禍でユーザー数急増、導入の狙いは出社勤務並みの生産性

 普及が進む大きな理由が、新型コロナウイルス感染拡大防止対策として在宅勤務を中心としたテレワークに取り組む企業が増えたことだ。タスク管理サービスがテレワークに不可欠な定番ツールになりつつある状況がうかがえる。

 タスク管理サービス「Wrike」を提供する米Wrike(ライク)の日本法人、Wrike Japanの性全悟史カントリーマネージャーは「チームリーダーはメンバーの状況が分からない、メンバーは自分がどのように評価されているのかが分からない。テレワークの実施に伴ってこうした新たな課題が出てきた。課題解決の一助としてWrikeを検討して、導入するケースが多くなっている」と説明する。

 テレワーク環境下でも、チームで進める業務の効率化を高めるニーズが高まっているという。性全カントリーマネージャーは「テレワークの期間が長引くにつれて、出社していたときのワークスタイルと同程度、またはそれ以上の高い生産性や効率性を仕事に求めるようになっている。テレワークの実施レベルが上がるにつれて、業務プラットフォームとしてWrikeを検討するケースが多い」と続ける。

 「Asana」を提供する米Asana(アサナ)の日本法人、Asana Japanの内野彰マーケティングリードによると、社員がテレワークなどによって分散して働くようになった大手企業の職場で導入が加速しているという。「導入目的は、働き方改革ではなく、イノベーションを起こせる組織への変革や社員のエンゲージメント(仕事に対する熱意)向上も含まれるようになっている」と話す。

タスク管理サービスの1つである「Asana」の画面例。上が複数プロジェクトの進捗などをまとめて把握できる画面である「ポートフォリオ」。下はチームメンバーそれぞれの作業負荷を可視化した画面の「ワークロード」
タスク管理サービスの1つである「Asana」の画面例。上が複数プロジェクトの進捗などをまとめて把握できる画面である「ポートフォリオ」。下はチームメンバーそれぞれの作業負荷を可視化した画面の「ワークロード」
(出所:Asana Japan)
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 利用するユーザーも多岐にわたる。PR TIMESの山田事業部長は「インターネットサービス業やWeb制作・開発会社で、プロジェクト管理を目的に利用するケースが多いが、直近の特徴として不動産や建設、士業といった業界での利用が増えている。経営層からの相談も多くなっている」と話す。

 「Backlog」を提供するヌーラボの白川宏昭サービス開発部Backlog課プロダクトマネージャーは「BacklogのユーザーはIT業界にとどまらない。エンジニア以外の職種の人も参加しているプロジェクトで使われている例が多い」と明かす。Backlogのユーザーの半数以上がエンジニア以外の職種だという。