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 「カワサキ」ブランドの「Z2」(モデル名:750RS)と「Z1」(同900 super4)といえば、1970年代に発売された大型2輪車の大ヒットモデル。「希代の名車」「空前絶後の傑作」などと形容され、製造した川崎重工業自身も「大型2輪車市場におけるカワサキの地位を決定づけた歴史車」*1と位置付ける。

「Z2」「Z1」の外観
「Z2」「Z1」の外観
左が国内向けの「Z2」、右が欧米市場向けの輸出専用車「Z1」。現在も約2万台が走行可能な状態にある。(出所:川崎重工)
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*1 川崎重工のニュースリリース(2019年3月1日付):https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20190301_1.html

 驚くべきはいまだ現役で走っている車両の多さで、同社によると約2万台が愛好家によって走行可能な状態に保たれているという。長く乗り続けるには、メンテナンスに加えてレストアを繰り返す必要があり、製造から半世紀を経て純正部品が無くなっても、ユーザーや専門ショップはコピー部品を造って代替する。実は、たいていの部品はコピー部品で代替可能なのだという。

 しかし、エンジン回りの主要部品、ことにシリンダーヘッドは形状と構造が複雑なためコピー部品の製造は極めて難しく、専門ショップでも手を出せない。「シリンダーヘッドを何とか造ってほしい」との要望も多かったことから、川崎重工業は2019年、Z2・Z1向けシリンダーヘッドの復刻を発表した。

Z2・Z1用シリンダーヘッド
Z2・Z1用シリンダーヘッド
初期モデルの黒色と、その後の銀色がある。空冷式の4気筒エンジンで形状と構造が複雑なため、コピー品での代替が難しい。(出所:川崎重工)
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 復刻に当たっては、新車当時の手描きの設計図を基に3Dデータを起こし、忠実な再現を試みた。単に同じ形状にするだけではなく、図面を読み解きながら当時の技術者が目指した「理想のかたち」(同社)を踏まえている。さらに、現在の設計・製造技術を駆使して品質を確保した。