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 米国の安全規格であるUL規格*1への不適合問題が拡大している。三菱電機が、UL規格に適合していない電磁開閉器の部品(以下、不適合品)を製造・販売していたことが分かった。対象台数は約215万台に上る(2021年5月7日時点)。産業用の製品で、工場の製造現場の設備などが影響を受ける可能性がある。

UL規格への不適合が発覚した電磁開閉器「MS-T」シリーズ
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UL規格への不適合が発覚した電磁開閉器「MS-T」シリーズ
端子台の樹脂枠とみられる部品に、ULに認証登録された樹脂(PA)とは異なる組成の材料を使用していた。(出所:三菱電機)

*1 UL規格 米国の第三者安全科学機関であるUnderwriters Laboratories(UL;アンダーライターズ・ラボラトリーズ)が策定する製品の安全規格。

 UL規格への不適合問題については、京セラと東洋紡が不正によって長年にわたって不適合材料を量産・販売していたことが発覚し、現在、日本の製造業の信頼を揺るがす新たな品質不正問題となっている。

 電磁開閉器は、モーターや照明などに電流を流したり遮断したりする電磁接触器と、過電流によるモーターの焼損を防ぐ保護機器(サーマルリレー)を組み合わせた機器。不適合品であることが発覚したのは「MS-T」シリーズで、電磁継電器が4機種、電磁開閉器のオプションである補助接点ユニットが2機種の合計6機種だ。製造したのは、三菱電機名古屋製作所の可児工場(岐阜県可児市)である。

 UL規格への不適合の事実は、21年4月26日に同社が実施した社内調査で判明し、同日に不適合品の出荷を停止した。だが、「今後、外部の専門家の協力を得た調査を検討する」(同社)として、不適合に至った経緯や原因などの詳細は明かしていない(21年5月7日時点)。今後の調査では名古屋製作所の可児工場以外の工場や、他の製作所を含めてUL規格への不適合品の有無を調査する考えだ。

UL規格への対応を宣伝するカタログ
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UL規格への対応を宣伝するカタログ
主要な国際規格としてUL規格に対応していることも強調している。(出所:三菱電機、赤枠:日経クロステック)

認証登録されていない樹脂を使用

 不適合品であると判明したのは、「電磁開閉器と連結して補助接点を保持する部品」と三菱電機は説明する。これについて、ものづくりに詳しいコンサルタントは「端子台の樹脂枠ではないか」とみる。この部品は、汎用エンジニアリングプラスチック(エンプラ)であるポリアミド(PA)*2製。このPAについて、UL認証を取得する際に登録した組成とは異なる組成の材料を使ったというのが、UL規格への不適合の内容である。

*2 ポリアミド(PA) 機械的特性や耐熱性、耐薬品性などが比較的高い樹脂。PA6やPA66などがある。

 問題は、誰に非があるか。すなわち、UL規格への不適合の責任はどの企業にあるのか、だ。