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 富士通やNEC、日立製作所、NTTデータなど国内大手ITベンダーが仮想発電所(VPP、バーチャル・パワー・プラント)の構築支援サービスに力を入れている。2021年4月に電力の「需給調整市場」が開設したことから、電力会社や製造業などによるVPPの構築が本格化する見込みだ。そこに商機を見いだしている。

 VPPとは様々な場所に分散する太陽光発電や発電機、大型蓄電池などの電源(エネルギーリソース)をITによって統合的に制御し、あたかも一つの発電設備のように機能させる仕組みだ。太陽光発電や風力発電など小規模な再生可能エネルギー電源が生み出す電力を市場に提供しようとする事業者にとって、VPPは必要不可欠なシステムとなる。

 2021年4月に開設された需給調整市場は、一般送配電事業者が需要と供給を一致させるために必要な電力である「調整力」を取引する市場である。新しい市場開設きっかけにVPPを構築する事業者が増えると考え、大手ITベンダーの動きが活発化している。

 富士通は2021年4月6日、VPP構築システムを開発する米AutoGrid Systems(オートグリッドシステムズ)との提携を発表し、オートグリッドの製品の国内販売を始めた。VPP構築支援サービスはNECが2019年に、NTTデータが2020年6月に、日立製作所が2020年7月に既に始めている。

 ITサービス国内最大手の富士通が海外で実績のあるシステムを日本市場に投入し始めたことで、この分野の競争は激化しそうだ。盛り上がりを見せているVPPの仕組みや、各社が手掛けるサービスの実態を詳しく見ていこう。

バーチャルパワープラント(VPP)の仕組み
バーチャルパワープラント(VPP)の仕組み
NECの資料を基に日経クロステック作成
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 VPPが管理するエネルギーリソースは、発電事業者が所有するものに限らない。企業や家庭といった電力の需要家側が保有する太陽光発電や発電機、大型蓄電池、EV(電気自動車)などもエネルギーリソースとする。さまざまな種類のエネルギーリソースを制御する事業者をリソースアグリゲーター(RA)という。

 さらに複数のRAが制御した電力量をまとめた上で、送配電事業者や小売電気事業者と取引する事業者としてアグリゲーションコーディネーター(AC)がある。ACは需給調整市場と直接接続して、送配電事業者などに電力を提供する。ACとRAの両方の役割を担う事業者もいる。

 VPPを構成する技術として、多数の分散電源を遠隔から監視制御する電源制御技術や、需要や発電の予測技術、センシングと通信技術、各エネルギーリソースの情報を集約し全体最適化するAI(人工知能)技術などがある。