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 「ガソリン(エンジン)車がなくなるか? それは最終的にお客様が決めること」──。日産自動車の内田誠社長兼CEO(最高経営責任者)が、カーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)時代における自動車のパワートレーンの選択についてコメントした。2021年5月11日に開催した2020年度(2021年3月期)の決算発表の席で、報道陣の質問に答える形で同社の考えを披露した。

日産自動車の内田社長兼CEO
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日産自動車の内田社長兼CEO
脱炭素時代にガソリン車が日産自動車の商品ラインアップから消えるかの問いに、「顧客が決めること」と回答した。(出所:日経クロステック、オンライン会見の画面をキャプチャー)

 質問は、「2050年カーボンニュートラルを実現する場合、日産自動車のラインアップからガソリン(エンジン)車が消えるか」というもの。エンジン車を廃止した「電気自動車(EV)シフト」を打ち出す自動車メーカーが相次いでいることから、日産自動車の考えを確認する狙いがあったとみられる。

 内田社長は同社の車両の電動化戦略について、「我々は2030年代の早い段階で、コア市場において電動化車両を提供していくことを目指す。やはり、最終的にはお客様がEVであったり、(ハイブリッドシステムである)『e-POWER(eパワー)』であったりを選んでいく」と語った。

日産自動車の電動化戦略
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日産自動車の電動化戦略
EVとeパワーを電動化の2本柱とする。(出所:日産自動車)

 そのために日産自動車が重視するのは「総保有コスト」、すなわち購入から手放すまでの間に自動車にかかる費用である。特に現行のEVは駆動用電池が高コストであるため、車両価格が高い。より多くの顧客がEVを選択するには、総保有コストでEVがエンジン車を下回らなければならない。すなわち、EVの方がエンジン車よりも「お得」でなければ普及しないと同社はみているようだ。その上で、内田社長は「2030年代の早い段階でそうしたクルマをどんどんお客様に提供できると考えている」と自信をみせる。

 2050年カーボンニュートラルの目標については、さまざまな脱炭素対策の積み上げで実現できると考える。この目標の実現のために、顧客を無視した極端なEVシフトは考えていないようだ。同社は「環境対策とお客様のニーズとのバランスをうまく取り、お客様に気に入っていただける形(の車両)を提供する」(同社長)。

 カーボンニュートラルを踏まえた車両の電動化の速度は、各国・地域で異なる。そこで、日産自動車は、それぞれの市場ニーズに合わせて、電動車両であるEVもしくはeパワーを搭載した車両をタイムリーに投じていく考えだ。この際に投入判断の指標とするのが、総保有コストである。