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 鉄鋼大手が高炉からの二酸化炭素(CO2)排出の削減に一層力を入れ始めた。「ゼロカーボンスチールの実現を最重要課題と位置付けて積極的に取り組む。総力戦で挑む」――。日本製鉄常務執行役員(環境担当)の鈴木英夫氏は、2021年3月30日に開催した製鉄プロセスの低炭素化に関するオンライン記者説明会で意気込みをみせた。

 鉄を製造する高炉は大量のCO2を排出する。高炉で排出するCO2の量は製造量1kg当たり約2.2kgで、同13kg弱のアルミニウムや同22kgの炭素繊維強化樹脂などに比べて小さいが、鉄の使用量が圧倒的に多いため、鉄鋼業におけるCO2排出の総量もまた多い。それ故、早い段階から業界を挙げてCO2排出量削減のための技術に挑んできた。

 その1つが、高炉からの排出ガスに含まれるCO2の30%の削減を目指す「COURSE50」プロジェクトだ*1。日本製鉄とJFEスチール、神戸製鋼所の国内高炉3社および日鉄エンジニアリングが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として技術開発を進めている。同プロジェクトは[1]水素を利用した「CO2排出量削減」と、[2]高炉排出ガスからの「CO2分離・回収」の2つの技術から成る。[1]で10%、[2]で20%のCO2を削減することが目標だ。

 2008年度に始まったこのプロジェクトの「フェーズI-STEP1」(2008~12年度)ではラボテストを中心に要素技術を開発。13年度からは「フェーズI-STEP2」として、試験高炉にスケールアップしたデータの取得を目指し、16年に日本製鉄(当時は新日鉄住金)の東日本製鉄所・君津製鉄所に小型試験高炉を建設した。18年からは実用化に向けた「フェーズII」として試験操業での性能検証を進めている。

図 COURCE50の小型試験高炉
図 COURCE50の小型試験高炉
日本製鉄の東日本製鉄所・君津製鉄所に建設された(出所:NEDO、日本鉄鋼連盟 COURSE50)
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図 COURSE50で開発している2つの技術
図 COURSE50で開発している2つの技術
高炉から出るガスに含まれるCO2を10%削減するとともに、ガス中のCO2を分離・回収して環境への放出量を減らす(出所:NEDO、日本鉄鋼連盟 COURSE50)
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*1 プロジェクトの正式名称は、「環境調和型プロセス技術の開発/水素還元等プロセス技術の開発」。