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 米OmniVision Technologies(オムニビジョン・テクノロジーズ)は2021年5月13日、車載カメラ向けの画像信号プロセッサー(ISP:Image Signal Processor)の新製品「OAX4000」を発表した(図1)。従来品に比べ、ECU(電子制御ユニット)に搭載するISPの数を半減できるという。既にサンプル出荷や量産が可能である。

図1 ISPの新製品「OAX4000」
図1 ISPの新製品「OAX4000」
最大で300万画素のカメラ4台もしくは800万画素のカメラ1台のデータを処理できる。(出所:OmniVision Technologies)
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 「OAX4000の最大の特徴は、300万画素のカメラ4台のデータを同時に処理できる点だ。複数の(CMOSイメージセンサーと組み合わせる)カラーフィルターにも対応しており、様々なデータを出力できる」。同社の日本法人でオートモーティブ担当のシニアマーケティングマネージャーの張啓文(ケルビン・チャン)氏は強調する。

 ISPの従来品である「OV491」は、2つのセンサー入力を備える。このため、4台のカメラを接続するECUであれば2個のISPが必要だった(図2)。一方のOAX4000は4つのセンサー入力を持つため1個で済む。

図2 ECUのシステム構成例
図2 ECUのシステム構成例
カメラ4台を接続する場合、従来品のOV491は2個必要である。OAX4000は1個でよい。(出所:OmniVision Technologies)
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RGBとIRのカメラを1台に統合

 OAX4000の用途は、自動運転/ADAS(先進運転支援システム)やサラウンド・ビュー・システム(SVS)、電子ミラー、車室内監視システムなどのECUおよびカメラである。OmniVisionが特に期待を寄せているのがSVSだ。車両の前後左右に1個ずつカメラモジュールを搭載するシステムで、計4個のISPを使うことが多い。OAX4000なら1個でよい。

 車室内監視システムに関しては、OAX4000を使うことで「運転者の状態を検知するカメラと車室内の状況を把握するカメラを1つに統合できる」(張氏)とする。前者は、暗い環境でも運転者の眠気やわき見などを監視できる近赤外光を使ったIRカメラ。後者は乗車位置や幼児の置き去りなどを確認する目的で、可視光によるRGBカメラを搭載する動きが進みつつある。

 2つのカメラを1つに統合する上で鍵を握るのが、「RGB-IR」のカラーフィルターである(図3)。このカラーフィルターを備えたCMOSイメージセンサーでRGBとIRの映像を同時に取得し、ISPによる処理でRGBとIRの2つのデータを出力する。

図3 対応するカラーフィルターの例
図3 対応するカラーフィルターの例
RGB-IRをはじめ、様々なパターンのカラーフィルターで撮影したデータを処理できる。(出所:OmniVision Technologies)
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 OAX4000はRGB-IRだけでなく、様々なカラーフィルターに対応する。具体的には、ビューイング用途で一般的な「RGGB」や感度を向上できる「RCCB」、センシング用途に向く「RYYCy」などのパターンを処理可能だ。