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 2035年までの脱・純エンジン車の実現や、30年度の乗用車の燃費基準(企業別平均燃費基準方式、CAFE方式)の達成に向けて、軽自動車の電動化は待ったなしだ。だが一方で、軽の電動車を市販しているのは、超小型の電気自動車(EV)を除くと、現時点ではスズキと、日産自動車・三菱自動車の2陣営に限られている(図1)。登録車と比べてコストや搭載スペースなど、軽自動車には大きな制約があるからだ。

図1 日産自動車の軽ハイトワゴン「デイズ ハイウェイスターX」
図1 日産自動車の軽ハイトワゴン「デイズ ハイウェイスターX」
ベルト駆動のISGを搭載したMHEVモデル。駆動方式は前輪駆動。(撮影:日経クロステック)
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 しかも、軽自動車においては、本格的なハイブリッド車(HEV)はまだ存在しない。かろうじて存在するのは、ベルト駆動のISG(モーター兼発電機)を使った簡易ハイブリッド車(MHEV)のみだ。そのMHEVにおいても、いかにリーズナブルに燃費を改善し、いかに付加価値を付与するか、苦心の跡がうかがえる。ここでは、日産の軽ハイトワゴン「デイズ」を例に、現状のMHEVがどのように仕立て上げられているのかを紹介する。

 現在存在している軽のMHEVは、いずれもベルト駆動のISGを使ったものだ。オルタネーターに置き換えてISGを積むことで、限られて搭載スペースを有効に活用している(図2)。しかも、ベルト駆動とすることでエンジンの再始動時の振動や音を低減し、かつISGをトルクアシストに使うことで走り始めの加速性能を高めるなど、付加価値向上につなげている。

図2 デイズMHEVモデルのハイブリッドシステムの構成部品
図2 デイズMHEVモデルのハイブリッドシステムの構成部品
黄色がISG、青色がリチウムイオン電池、紫色が鉛蓄電池、赤色がリレー。リチウムイオン電池のパック内にももう1つのリレーが搭載されている。(出所:日産自動車)
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 日産でパワートレイン・EV技術開発本部パワートレイン・EV性能開発部PT・EVシステム設計グループ主担を務める黒木 真氏によれば、デイズのISGは直径130mmと「ガソリン車モデルに搭載しているオルタネーターよりひと回り大きい程度」という。ただし、その軸長は「モーター部分は同程度だが、その後ろに簡易的なインバーターとコントローラーが付いており、全体では少し長めになっている」(同氏)という。

 使用する電源システムも、ガソリン車と同じ12Vのものを使い、価格がこなれた12Vの部品を利用できるようにしている。駆動用に追加した電池も、容量は最大で120Wh。トヨタ自動車のストロングHEV「プリウス」の0.8kWhと比べると、6分の1にも満たない。価格が高く、容積も大きくなりがちな電池の容量を抑えて、MHEVという電動車を低コストに仕立てている。