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 インターネットイニシアティブ(IIJ)の2021年3月期の連結決算は、営業利益が前期比73.2%増、当期純利益は同142.4%増だった。2014年以降の6年間と比較しても著しい伸び率だ。

2013年以降利益は増減を繰り返してきたが、2021年3月期の伸びは著しい。2017年3月期以前は米国会計基準、2018年3月期以降はIFRS(国際会計基準)により算出
2013年以降利益は増減を繰り返してきたが、2021年3月期の伸びは著しい。2017年3月期以前は米国会計基準、2018年3月期以降はIFRS(国際会計基準)により算出
(出所:インターネットイニシアティブ提供資料を参考に日経クロステックが作成)
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 IIJは1992年創業の日本のインターネット業界では老舗とも言える企業だ。売り上げ規模は2000億円にのぼる。何が好業績の要因となったのか。

「テレワーク特需」で恩恵

 最大の要因はコロナ禍でテレワークへの移行が急増したことに伴う、企業のインターネットトラフィック増加だ。インターネット接続事業者(ISP)や企業向けサービスを手掛ける通信事業者に広く吹いた追い風を象徴する存在がIIJと言える。

 企業向けのインターネット接続サービスについて、多くの企業が帯域を増強したため売り上げが伸びた。自宅など社外からインターネット経由で社内ネットワークへ接続する社員が増えたことで、企業がインターネット回線帯域を増強する必要に迫られたためだ。IIJの企業向けインターネット接続サービス利用料は帯域確保量によって変わるため、帯域強化の動きは売り上げ増に直結する。

 利益が伸びた理由はインターネット接続サービスのコスト構造にある。同サービス提供においては通信設備や通信キャリアから借りる回線などのコストが固定費となる。通信事業者は一般に、トラフィック増に備えて投資しているため、顧客が帯域を増やすのに比べて原価の増加ペースはなだらかだ。IIJも例外ではない。IIJの渡井昭久専務取締役 CFO(最高財務責任者)は「売り上げは増加したが、固定費は前期とほとんど同じレベルだった」と振り返る。利用者が増えればそのまま利益増につながる。

ネットワークサービスの売上高、原価の推移
ネットワークサービスの売上高、原価の推移
(出所:インターネットイニシアティブ)
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 テレワーク普及によりビデオ会議などのコミュニケーションツールや業務SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)などの企業に注目が集まる一方、インフラ企業として「おいしいところ」を持っていった1社がIIJだった。