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 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS Japan)は2021年5月18日、報道関係者向け説明会を開催し、米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)の量子コンピューターサービス「Amazon Braket(アマゾン ブラケット)」を使ったユーザー企業の成果を報告した。国内パートナー企業のblueqatは、Amazon Braketを活用した量子機械学習の統合開発環境の提供も明らかにした。

保険や金融業界向けに成果

 Amazon Braketは、複数の量子コンピューターを使いクラウド経由で量子計算ができるサービスである。カナダのディーウエーブシステムズ(D-Wave Systems)、米IonQ(イオンQ)、米リゲッティ・コンピューティング(Rigetti Computing)の量子コンピューターをクラウド経由で利用できる。2020年8月に一般提供を開始した。

 Amazon Braketの活用事例では、あいおいニッセイ同和損害保険の米子会社である米Aioi Nissay Dowa Insurance Services USA(AIS)が紹介された。同社は保険業界向け調査の一環として、自動運転車のセンサーデータを使用した機械学習をIonQの量子コンピューターを使って検証した。自動運転車のテレマティクスデータは急増しており、量子コンピューターを使った機械学習である「量子機械学習」は、こうした大量データの解析に役立つとしている。

 独Volkswagen Group(フォルクスワーゲングループ)もアルゴリズムのテストと開発に量子コンピューターを活用したほか、資産運用大手の米Fidelity Investments(フィデリティ・インベストメンツ)のフィデリティ応用技術センターは金融業界向けの量子コンピューターの活用についてPoC(概念実証)を実施しているという。

量子機械学習の統合開発環境を提供

 blueqatは2021年4月、量子コンピューターのソフトウエア開発を簡単にするライブラリーを備えた同社クラウドシステム「blueqat cloud」と、Amazon Braketを接続するサービスの提供を始めた。

「blueqat cloud」とAmazon Braketを接続した、量子機械学習の統合開発環境
「blueqat cloud」とAmazon Braketを接続した、量子機械学習の統合開発環境
出所:blueqat
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 Amazon Braketで提供するディーウエーブの量子コンピューター(量子アニーリング方式)は2048量子ビットと5760量子ビットのマシン。一方、IonQとリゲッティの量子コンピューター(量子ゲート方式)は、それぞれイオントラップ量子ビット、超電導量子ビットである。ただ、用途や目的に応じてマシンの選択やアルゴリズムの作成などが必要となり、これが活用に向けた壁となっていた。

 これまでは「(量子コンピューターの開発企業と)個別契約したり、どのマシンを選択するかの判断が難しかった」(blueqatの湊雄一郎社長)。しかし、Amazon Braketとblueqatの新サービスにより、目的に応じた量子コンピューターを選びやすくなったほか、機械学習の統合開発環境も用意された。