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 多くの公共交通機関で「密」回避サービスが積極的に取り入れられているが、ついに東京地下鉄(東京メトロ)各路線にも導入される。

 東京メトロは2021年度中にもデプスカメラと人工知能(AI)を活用した列車混雑計測システムを全線の複数駅に導入する。デプスカメラとは深度センサーを内蔵し、奥行きの情報を取得できるカメラのこと。導入対象は東西線や千代田線、半蔵門線、丸ノ内線、有楽町線などの全9路線。列車の号車ごとの混雑状況を同社のアプリを通じて乗客に配信、電車を利用する時間帯の分散を促し、「密」回避につなげる。ダイヤ改正の検討にも役立てる計画だ。

東京メトロの丸ノ内線
東京メトロの丸ノ内線
出所:東京地下鉄
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 導入の背景について、東京メトロの足立茂章鉄道本部運転部輸送課課長補佐は「首都圏の中で東西線は混雑度が高く、分散乗車の促進や早起きキャンペーンなどやっていたが、なかなか混雑解消にまで至らなかった」と話す。リアルタイムで空いている時間帯や号車などを利用者に配信できるように、システムを作るに至った。

 当初は東西線のみの導入を検討していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で利用者の「密」を避けたいというニーズが高まったため、全線へのサービス展開を決めた。2019年9月に東西線東陽町駅で、同年11月に丸ノ内線新宿駅で実証し、技術検証ができたため本導入にこぎつけた。

 銀座線上野駅や千代田線千駄木駅などにはすでに列車混雑計測システムを導入済みだ。2021年上期にも、東京メトロのアプリや公式ホームページを通じて利用者への配信を始める。新システムにより「列車が発車してから5秒ほどで混雑率を算出し、10秒ほどでアプリを通じて顧客に配信できるようにする」と足立課長補佐は話す。

1ホームに設置するデプスカメラは1台

 列車混雑計測システムの仕組みは次の通りだ。まずホーム端に取り付けたデプスカメラで駅を出発する列車内の混雑状況を撮影する。東西線の東陽町駅であれば中野方面のホームに設置されている。例えば東西線は10両分の車両があり、10両分通過するところをデプスカメラで撮影する。特徴は1ホームに設置するデプスカメラは1台で計測が可能な点だ。

列車混雑計測システムの概要
列車混雑計測システムの概要
出所:東京地下鉄
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