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日本ユニシスは2021年5月7日、社名を2022年4月1日付で「BIPROGY(ビプロジー)」に変更すると発表した。2021年6月25日の定時株主総会での承認を経て正式に決定する。同社の平岡昭良社長CEO(最高経営責任者)・CHO(最高健康責任者)に、1988年4月から30年以上親しまれた社名を変更するに至った経緯や狙いなどを聞いた。(聞き手=中島 募、貴島 逸斗)

平岡 昭良(ひらおか・あきよし)氏  日本ユニシス社長CEO(最高経営責任者)・CHO(最高健康責任者)
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平岡 昭良(ひらおか・あきよし)氏 日本ユニシス社長CEO(最高経営責任者)・CHO(最高健康責任者)
1956年生まれ。1980年日本ユニバック(現日本ユニシス)に入社。asaban.com事業部副事業部長やビジネスアグリゲーション事業部長、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員などを経て2016年より現職。(写真:陶山 勉)

米Unisys(ユニシス)との資本関係を2006年に解消しています。今のタイミングで社名(商号)を変更する理由は。

 (2016年4月に)社長に就任する以前から日本ユニシスという社名にもどかしさを感じていました。

 例えば2015年にイタリアで開催されていたミラノ国際博覧会(ミラノ万博)で日本館が展示デザイン部門で金賞を受賞した際、当社は日本の良さをデジタルコンテンツでアピールすることに貢献しました。しかし海外では(赤色の)「UNISYS」というロゴが使えないため、会場では黒い文字で「NihonUnisys Ltd」と書かれた看板を出しました。当時、現地でこの看板を見て強いショックを受けたのを記憶しています。「日本ユニシスという社名でずっといることはないだろう」と思い始めたのはそのころからです。

おなじみのロゴだが海外では使えない事情がある
おなじみのロゴだが海外では使えない事情がある
(出所:日本ユニシス)
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 当社が海外でUNISYSのロゴを使うと、米Unisysと当社のそれぞれの顧客の誤解を招く恐れがあります。このため日本ユニシスという(日本語の)社名は使えるのですが、(Nihonがつかない)Unisysというアルファベットで表記したりロゴマークを題したりできません。Facebook(フェイスブック)などの公式コンテンツも「UNISYS」のロゴではなく、「U」のマークを使用しています。

 クラウドが前提になってくると、ビジネスはボーダーレスになります。また様々な社会課題の解決に貢献したり、社会的な価値を創出したりしようとすると、国内に閉じた目線ではうまくいきません。日本は少子高齢化や災害対策などの観点で「社会課題先進国」と言われています。こうした課題の解決に向けたサービスをグローバルに展開することで世界や地球に貢献したいという思いから、今のタイミングでボーダーレスに使えるブランド名が欲しいと考えました。

(写真:陶山 勉)
(写真:陶山 勉)
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 社名を変更するもう1つの理由は、私たち経営陣や社員の意識です。日本ユニシスという社名では、どうしてもITサービス会社というイメージが強いですし、「日本の中でビジネスをしている」という枠を自身でつくることになります。社会的な価値を生み出していこうとすると、強みであるITをもちろん武器にしますが、それ以外の技術も組み合わせていく必要があります。

 また、国内外の様々な業種業界の企業と組んでビジネスエコシステムを構築するうえでも、世界で使えるブランド名が欲しい。唯一無二のブランド名で自らの枠を超え、発想の原点を変えたいという思いから今回決断しました。

こだわり抜いて決めた社名

いつから社名を変える検討を始めましたか。

 米Unisysといろいろな話をする必要があったので、3年ほど前からです。これまでの協力関係や契約内容に変更が生じないということをしっかり確認して「今まで以上に一緒に頑張っていこう」という会話をしてから、新たな社名の選定を始めました。ブランドを継続する形で(社名を)変えるというやり方もありますが、「発想の原点から変えていく」という思いがあったので、まるっきり白紙の状態から検討することにしました。

 今はまさに、イノベーションには多様性が大切だと言われています。当社もイノベーティブな企業に変革するために「ダイバーシティー&インクルージョン」を重要視しています。さらにビジネスエコシステムを実現するには、様々な業種業界とつながるという点で多様性が求められます。ですから多様性をベースにした社名にしたいと考えました。