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 ユーザーのWeb行動履歴の収集などに使われる「Cookie(クッキー)」。企業はこれまで、クッキーを活用して得たユーザーの属性や興味関心の情報を分析し、商品やサービスそれぞれのターゲットに向けた広告配信などを展開してきた。しかし、欧米を中心にプライバシー保護の潮流が強まり、ユーザー情報の取得に対するテクノロジー規制の動きが進んでいる。

 野村総合研究所(NRI)は2021年5月25日、「Cookieless時代」におけるデジタルマーケティングへの対応策を提言。田中渚子マーケティングサイエンスコンサルティング部主任コンサルタントは「クッキーに代わる情報の取得方法や、クッキーに頼らない戦略が重要になる」と強調した。

「完全な代替策はない」

 規制の動きが進んでいるのは、ユーザーが訪問したWebサイトとは別の企業が発行する「サードパーティークッキー」だ。複数のWebサイトを横断した行動履歴の収集とユーザー分析に使われている。2017年には米Apple(アップル)が同社のWebブラウザー「Safari」におけるサードパーティークッキーの制限を発表。米Google(グーグル)も2022年までに同社のWebブラウザー「Chrome」でサードパーティークッキーを廃止すると発表した。

デジタルマーケティングにおけるデータ種別
デジタルマーケティングにおけるデータ種別
(出所:野村総合研究所)
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 これらの規制により、ユーザーが訪問したWebサイトとは別の第三者がサードパーティークッキーを使ってアクセス履歴を収集・分析したり、広告事業者に提供したりできなくなる。Webサイトから得たユーザーのデータを販売する「パブリックDMP(Data Management Platform)」、複数媒体の広告を一括管理して効果を測定する「サイト横断計測」、出稿側がターゲティング広告を実施するための「DSP(Demand Side Platform)」などのサービスでは複数のWebサイトを横断した情報取得を前提としているため、特に影響が大きいという。

 NRIはサードパーティークッキーの代替として2つの技術を挙げる。1つは、ユーザーのPCの環境情報を活用する「フィンガープリント」だ。デバイスの種類やWebブラウザーのバージョン、スペック、設定などを示す項目を「特徴点」として取得し、照合することで同一人物かを判定する。指紋と同じように全ての特徴点が一致することは少ないため、判別可能だという。だが、ユーザーが気付かないうちに情報を取得する技術であるため、フィンガープリントの利用を公表すると、ユーザーの不信感につながるリスクをはらむ。

 もう1つは、「プライバシーサンドボックス」である。「FLoC(Federated Learning of Cohorts)」を活用したグーグルの技術だ。ユーザーの行動を識別してグループ化し、それぞれのグループに対して興味関心などのセグメント情報をひも付ける。個人を特定せずにターゲティング広告の配信などができるのが特徴だ。他にも開発中の技術は複数あるが、現時点で完全な代替策はないとする。

サードパーティークッキーの代替策
サードパーティークッキーの代替策
(出所:野村総合研究所)
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