全1879文字
PR

 携帯電話最大手のNTTドコモが、成長領域であるはずの非通信分野のサービスを次々に終了している。2021年6月にフードデリバリーから撤退し、2021年8月以降も音楽ライブ映像などの配信や個人間カーシェアのサービス提供を終える。

 本業の国内携帯電話事業の成長鈍化を補うべく、2010年代前半から異業種参入に本腰を入れた同社。多くのサービスに社名の「ドコモ」やそのイニシャルである「d」を冠するなど本気で取り組んできたが、一体何が起こっているのか。

額面通り受け取れない生配信サービスのdTV統合

 ドコモが2021年5月19日にオンライン開催した新サービス・新商品発表会。同社は夏商戦に向けた5G(第5世代移動通信システム)対応スマートフォンの最新機種を多数お披露目した。

 加えて、同社が運営するeスポーツ事業の新施策として、カプコンの人気対戦ゲーム「ストリートファイター」のリーグ戦を2021年10月に開始することも発表。ドコモの井伊基之社長自らが登壇するだけでなくカプコンの辻本春弘社長COO(最高執行責任者)も招くなど、ドコモのeスポーツ事業への注力ぶりは鮮明だった。

NTTドコモの井伊基之社長(左)とカプコンの辻本春弘社長COO(最高執行責任者)
NTTドコモの井伊基之社長(左)とカプコンの辻本春弘社長COO(最高執行責任者)
(出所:NTTドコモ)
[画像のクリックで拡大表示]

 ただし、報道陣の目を引いたのはそれだけではない。この日、ドコモは音楽ライブなどのスマホ向け生配信サービス「新体感ライブ CONNECT」を2021年8月に終了すると発表。代替として既存の動画配信サービス「dTV」に「ライブ」ジャンルを新設するとした。

 その理由について、ドコモの山下智正コンテンツ戦略担当部長は次のように説明する。「2020年からコンテンツの追加や巣ごもり消費のおかげでdTVがかなり好評だ。オンラインライブの需要も盛り上がっている。そこで今後、アプリを1つにすることでライブの『前』と『本番』、その『後』までシームレスに楽しんでもらえるようにしていく」――。

 この発言を通信業界で額面通り受け取る向きは少ない。取りやめる新体感ライブ CONNECTは複数カメラの映像を切り替えながら視聴でき、8KのVR(仮想現実)映像も配信するなど高機能が売りである。ところが、こうした特徴はdTVには引き継がれないからだ。

 高速・大容量のデータ通信が可能な5G時代を見据えたサービスとして期待を集めたが、実際は「(マルチアングルの映像をスマホで視聴するなど)高機能な映像配信のニーズが限定的だった」(関係者)もようだ。