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 日立製作所は2021年7月までに約1兆円を投じて米IT企業のGlobalLogic(グローバルロジック)を買収する。IoT(インターネット・オブ・シングズ)事業「Lumada」の海外展開を加速する狙いだが、「高値づかみ」を指摘する声もある。買収をけん引した日立の徳永俊昭副社長はグローバルロジックの買収で「ITセクターは2桁の利益率を確実に出しながら、さらに(売り上げを)伸ばせる準備が整った」と語る。

 日立はこれまでもLumadaの海外展開に向けて、米子会社である日立ヴァンタラと日立コンサルティングを統合したり、AI(人工知能)やデータ分析のSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を展開するマレーシアのFusioTech Holdings(フュージョテックホールディングス)を買収したりしてきた。しかし海外の顧客と膝詰めで議論し、その課題解決に向けてLumada関連の製品・サービスを提案するリソースなどは十分ではなかった。

日立製作所の徳永俊昭副社長
日立製作所の徳永俊昭副社長
(撮影:日経クロステック)
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20弱のワーキンググループを設置

 その欠けたピースを埋めるために決めたのが、グローバルロジックの買収だ。徳永副社長は「グローバルロジックは顧客と『協創』する力に非常にたけている。インドと東欧にかなりのリソースを持っていて、この部隊を中心に、海外の顧客に効率良くLumadaを展開できる」と期待を寄せる。グローバルロジックは約2万人の従業員を抱え、そのうちインドと東欧を含めたEMEA(欧州・中東・アフリカ)が大部分を占める。

 徳永副社長はグローバルロジックのPMI(買収後の統合)の方針に関し、「奇異に聞こえるかもしれないが、今の彼らのやり方を壊してはいけない」と話す。グローバルロジックがこれまで達成してきた年率20%の成長を維持・向上させていくために、日立とグローバルロジックが顧客アセットを共有したり、日立の研究開発部隊からグローバルロジックに技術を投入したりし、「彼らの成長をどんどん加速させていくことが日立としてやらなければいけないことだ」(徳永副社長)。

 今のところ買収前ということもあり、細心の注意を払いながらシナジー創出に向けた準備を進めている。具体的には人事やファイナンスといったコーポレート部門に加えて、各セクターや子会社の日立Astemoといった組織ごとに20弱のワーキンググループを設置し、関係者が集まって議論を始めている。徳永副社長は「日立でいうと事業所長クラスを中心に体制を組み、検討に着手している」と語る。

日立はグローバルロジック買収でまずITセクターとのシナジーを狙う
日立はグローバルロジック買収でまずITセクターとのシナジーを狙う
(出所:日立製作所)
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