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 2035年を期限とする新車の100%電動化と「乗用車の2030年度燃費基準」(企業別平均燃費基準方式、CAFE方式)の達成が喫緊の課題となっている軽自動車。そんな軽自動車に対して、48Vの電源システムを使ったストロングハイブリッド車(ストロングHEV)化と電気自動車(EV)化の2つのアプローチを提案しているのが、メガサプライヤーの1つであるドイツBosch(ボッシュ)である。

 同社日本法人のボッシュでパワートレインソリューション事業部電動パワートレイン事業室電動パワートレインコンポーネント開発部ゼネラル・マネージャーを務める清田茂之氏は、「最終ゴールはEVだが、電池(の価格)がまだ高く車両の値段が上がってしまう。また、(乗用車の新車販売の)約4割といわれる軽自動車が(いきなり)全てEVになったら、充電ステーション(の整備)が間に合わない。EV化までの移行期間としては48Vのソリューションはサイズ、コスト、性能の面からも軽自動車に合っている」とその根底にある考え方を語る。

 同社がEVを最終ゴールとみるのは、乗用車の燃費基準は、30年度のさらに先には、30年度基準よりももっと厳しくなると推定するからだ。「30年度燃費基準は、軽自動車ではストロングHEVを目いっぱいやらないと達成できない水準」(清田氏)、そして「燃費基準がさらに厳しくなれば、EVの台数を増やしていくことが望まれる」(日本法人のボッシュでパワートレインソリューション事業部マーケティング&事業戦略部マネージャーを務める小西康正氏)と説明する。

 そんな同社が48VのストロングHEV化に向けた具体的なアプローチとして提案するのが、最高出力20kWのモーターと容量0.7kWhの電池を組み合わせたP2~P4のパラレル・ハイブリッド・システムである(図1*1。清田氏は、それによって「30年度燃費基準に届くか届かないかといった燃費を実現できると思っている」と明かす。

図1 1モーターのパラレル・ハイブリッド・システムにおけるモーターの配置と呼称
図1 1モーターのパラレル・ハイブリッド・システムにおけるモーターの配置と呼称
大別してP0~P4の5種類がある。(出所:Bosch)
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*1 P2~P4とは、1モーター式のハイブリッドシステムにおけるモーターの配置の違いを表現したものだ。P2とは、エンジンと変速機の間の変速機の上流にモーターを、エンジンのすぐ下流に追加のクラッチを配置する方式。同クラッチを切り離すことで、エンジンを引きずらずにモーターだけで走行できる。これに対してP3は、変速機の下流にモーターを配置する方式。P4は、エンジンでは駆動しない車軸または車輪にモーターを配置する方式である。いずれも、歯車や軸直結によって動力を伝達するため、P0と呼ばれるベルト駆動のISG(モーター兼発電機)を使ったハイブリッドシステムよりも出力が大きなモーターを利用できる。

 ちなみに、日本の乗用車の30年度燃費基準はCAFE方式のため、軽自動車と登録車を合わせて達成できればよい。従って、軽自動車の燃費は登録車でカバーできる水準まで改善できれば済む。無論、理想は軽自動車だけでも燃費基準を達成できることだ。