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 「デジタル化に伴う仕事への影響やデジタルスキルの獲得機会に関するアンケート調査から、日本人はデジタル活用の自信がない上に、デジタルスキルを獲得する機会が少ないことが分かった」。調査を実施したPwCコンサルティングの佐々木亮輔パートナーはこう指摘する。

 同社が実施したアンケート調査において、日本はデジタル化に伴う仕事への期待感やデジタル化に順応できる自信の大きさ、企業が与えるデジタルスキル獲得の機会の多さに関する質問で、ポジティブな回答が調査対象の19カ国の中で最も少なかった。こうした状況の背景について、佐々木パートナーは日本型の雇用が深く関わっていることを指摘した。日本型の雇用はデジタル化にどのように関わっているのだろうか。

「とても自信がある」と回答した割合はわずか5%

 PwCコンサルティングは2021年5月26日、2021年2月に実施したアンケート調査「デジタル環境変化に関する意識調査」の結果を発表した。アンケートに回答したのは19カ国の18歳以上で、グローバルでは3万2517人、そのうち日本の回答者は2001人だった。同様の調査は2019年11月にも実施しており、今回が2回目だ。

 この調査結果から、日本はデジタル化に伴う将来の仕事への影響について、海外と比べて悲観的な見方をしている人が多いことが判明した。テクノロジーの発達によって将来の仕事がどうなるか、自分自身への影響を踏まえて考えたときの気持ちを選択する質問で、「楽しみだ」あるいは「自信がある」という肯定的な回答をした人は日本は26%で、19カ国中で最も少なかった。一方、肯定的な回答が多かったのはインドで75%だった。

テクノロジーの発達によって将来の仕事がどうなるか、自分自身への影響を踏まえて考えたときの気持ちを「楽しみだ」あるいは「自信がある」と回答した人の割合
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テクノロジーの発達によって将来の仕事がどうなるか、自分自身への影響を踏まえて考えたときの気持ちを「楽しみだ」あるいは「自信がある」と回答した人の割合
出所:PwCコンサルティング、以下同じ

 どうしてこのように大きな差になったのか。その答えのヒントになりそうなのが、「職場に今後導入される新たなテクノロジーに順応できる自信がどの程度あるか」という質問の結果だ。「とても自信がある」と回答した人の比率は日本が最も低く5%で、一方、比率が最も高かったのはインドで68%だった。日本人の新しいテクノロジーに順応する自信のなさが、デジタル化に伴う仕事への影響を悲観的に捉える要因になっている可能性がある。

職場に今後導入される新たなテクノロジーに順応できる自信がどの程度あるかという質問に「とても自信がある」と回答した人の割合
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職場に今後導入される新たなテクノロジーに順応できる自信がどの程度あるかという質問に「とても自信がある」と回答した人の割合

 こうした状況を変えるには、デジタルスキルの獲得が欠かせない。しかし、他国と比較して日本企業が従業員のスキル獲得の機会を提供できていないことも判明した。「雇用主は職務以外の場所でデジタルスキルを向上する機会を与えてくれているか」という質問に対し、「機会はない」という回答の比率が日本は46%だった。調査を実施した19カ国の中で最も低かった。

現在の雇用主は職務以外の場所でデジタルスキルを向上する機会を与えてくれているかという質問への回答
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現在の雇用主は職務以外の場所でデジタルスキルを向上する機会を与えてくれているかという質問への回答

 日本は個人のスキル獲得への意識も低かった。「過去12カ月間に、どの方法で新しいスキルを学習したか」という質問に対して、日本で最も多い回答は「学習機会なし」(40%)だった。「仕事を通じた学習」(23%)、「無料のオンラインリソース」(20%)と続く。グローバルでは、この質問に対する「学習機会なし」という回答の比率は最も低く13%だった。

 日本人の多くが新たなスキルの獲得に消極的な理由について、佐々木パートナーは「磨くべきスキルを見極められていないためだ」と語る。その背景に日本型の雇用が深く絡んでいる。