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 「5G(第5世代移動通信システム)を使えば、伝送した内視鏡映像を鮮明に素早く確認できる。遠隔診断支援を実現するうえで、5GやAI(人工知能)画像判定システムの有用性を確認できた」(ソフトバンク法人プロダクト&事業戦略本部法人5G推進室の小池勝矢担当部長)。

 ソフトバンクは2021年3月、内視鏡検査の映像を5Gで伝送し、AIで画像診断を補助する実証実験をAIメディカルサービス(AIM)と共同で実施した。AIMは内視鏡検査の画像や映像を解析し、がんの可能性を提示するAIの開発を手掛ける。

 5Gは高精細な画像や映像を低遅延でリアルタイムに送れるため、遠隔医療やAIを用いた診断支援をさらに広げると期待される。医療分野での5G活用に向けた実証実験が進んでいる。

5Gで伝送した内視鏡検査の映像を確認する様子
5Gで伝送した内視鏡検査の映像を確認する様子
(出所:ソフトバンク)
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微細な血管やポリープなども確認しやすい

 ソフトバンクとAIMの実証実験の内容は主に2つ。1つは遠隔医療に関するもので、あらかじめ撮影した内視鏡検査の映像を4Gと5Gの回線でそれぞれ伝送。専門医が画質やスムーズさ、病気による生体の変化である病変の確認が可能かなどを検証した。

 4Gでは映像の乱れが生じたが、5Gでは通常の内視鏡検査と比べてもほぼ引けを取らないことが確認できた。4Gでは小さな病変を確認できなかったり判断に迷ったりするケースがあったのに対し、5Gでは微細な血管やポリープなども鮮明で確認しやすかった。

 もう1つの実験はAIによる診断支援だ。内視鏡装置の映像から直接切り出した静止画と、5Gや4Gで伝送した映像を切り出した静止画のそれぞれをAIMの画像判定システムで読み込み、システムが算出した疾患有無の確率を比較した。5Gと4Gのどちらで映像を伝送した場合も、内視鏡から画像を直接読み込んだ場合とほぼ同等の正しい数値を算出した。

AI画像判定システムの画面
AI画像判定システムの画面
(出所:ソフトバンク)
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 「静止画を切り出して実験したため、5Gでも4Gでもあまり変わらない結果となったが、今後は映像の直接解析が想定される。このことを見据えれば、5Gには高品位の映像を素早く送れて、それをAIで解析できる可能性を持っていることが分かった」(ソフトバンクの小池担当部長)。

 CT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)などの静止画であれば4Gでも問題ないが、AIで映像をリアルタイムに解析するのであれば5Gが有用と考え、内視鏡検査を実証実験の対象に選んだ。