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「20年ぶりの大転換期」

 NECは開発生産性の向上にこれまでも注力してきた。具体的には、システム開発を部分的に自動化する「プログラム生成型」と呼ばれるジャンルの自社ツール「SystemDirector Enterprise」などを開発、自社SI事業で利用して、工期短縮や生産性向上に取り組んできた。ここにきて、Mendixをはじめとする社外のLCPを活用すると決めた背景には、日本の顧客が急ピッチでDXに取り組むなか、ビジネスの立ち上げや変化と同等の速度がシステム開発にも求められていることがある。

 変化に対応すべく、企業ではビジネス部門とシステム開発チーム、システム運用チームが一体となってIT活用に取り組む動きが活発化している。各部門が横断的に連携して、システムを迅速に立ち上げたり継続的な保守で改善し続けたりする「BizDevOps」の取り組みだ。

 ポイントは運用や保守にある。NECでITサービスの事業企画を担当するデジタルビジネスオファリング事業部の浅野友彦上席事業主幹は「『超高速開発ツール』などと呼ばれていたこれまでの多くの開発ツールとの最大の違いは、LCPが開発だけでなく保守・運用までのサイクルも一貫して回せることだ」と話す。

 ユーザー企業のBizDevOpsを支援するには、アプリの設計から実装、テスト、運用、保守まで包括的にカバーできるLCPの活用が不可欠と判断したわけだ。幅広い形態のアプリを開発できる汎用性の高さや、外部システムとのデータ連携のしやすさ、コンテナやマルチクラウドに対応している点などを評価してMendixをまずは取り扱うが、顧客の要望に応じて他のLCP製品も利用するという。

 浅野上席事業主幹は「アプリの開発において(LCPによる)ローコード/ノーコード開発の潮流は、インターネット技術の普及や情報システムのオープン化が進んだ2000年前後以来の大きな転換期だ」と語る。NEC自身もMendixの開発ノウハウ蓄積を兼ねて、Mendixを使った社内システムのモダナイゼーションに着手している。例えば、基幹システムとして導入している独SAPのERP(統合基幹業務システム)の標準機能を補う周辺システムで個別開発が必要なときにMendixを活用している。

 NECグループ内でソフトウエアエンジニアリングを担当するソフトウェアエンジニアリング本部の小林茂憲シニアマネージャーは「社内開発と並行して、ローコード/ノーコードの開発ガイドラインや再利用可能なモジュール(ソフトウエア部品)などの整備を進めている」と明かす。整備したLCP開発のアセット(資産)を顧客向けサービスでも提供する計画だ。

NECが整備を進めるLCP開発のアセット(資産)とアセットの例
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NECが整備を進めるLCP開発のアセット(資産)とアセットの例
(出所:NEC)

 IT人材不足、クラウドサービスの隆盛、DXを背景にした顧客の内製化志向と「脱SI」――。日本IT大手にとってシステム開発需要の見通しは決して明るくない。ローコード/ノーコード開発は「銀の弾丸」ではないがNECの本格採用でそのうねりはさらに大きくなりそうだ。

■変更履歴
NECの申し入れにより、Mendixの販売価格について「シーメンスのパブリッククラウド上で社員100人、取引先5000人が利用するポータルサービスを運営する場合を年額約700万円(税抜き)」「1万人がアクセスする会員制サービスを運用する場合は年額約2500万円(同)」と変更しました。本文は修正済みです。[2021/6/14 15:10]