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 損害保険ジャパンは2021年6月25日、新しい医療保険「スマホでピタッと充実保険 入院パスポート」の販売を始める。生命保険といった第一分野でも、同社の主力商品である自動車保険をはじめとする損害保険の第二分野でもない、第三分野と呼ばれる領域の保険だ。

 スマホでピタッと充実保険はスマートフォンだけで契約申し込みや保険金の請求手続きができる保険商品シリーズだ。損害保険ジャパンはこのシリーズの第1弾として新しい医療保険「入院パスポート」の提供を始める。個人顧客向け分野で自動車保険に次ぐ収益の柱として、人にまつわる保険に着目。第三分野に新しい保険商品を投入することで、この分野でより一層の事業成長を目指す。

損害保険ジャパンの新しい医療保険「スマホでピタッと充実保険 入院パスポート」の画面例。2021年6月25日に販売を始める
損害保険ジャパンの新しい医療保険「スマホでピタッと充実保険 入院パスポート」の画面例。2021年6月25日に販売を始める
(出所:損害保険ジャパン)
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 入院パスポートの特徴は、開発するに当たって、シリコンバレー流の手法で提供するサービス内容を編み出していったり、保険金の請求の手続きや処理にAI(人工知能)を組み込んだOCR(光学的文字認識)である「AI OCR」といったデジタル技術を活用したりした点だ。

 その結果、損害保険ジャパンの調べで業界初のサービス内容を複数盛り込むことができた。具体的には、入院パスポートを契約した顧客は、所定の条件を満たせば、入院準備金5万円を入院前でも受け取れるようにする。

 加えて、顧客が保険金の請求手続きを済ませてから最短で30分、原則24時間以内に指定された口座に入金できるようにする。この他、先進医療などにかかる費用は無制限に補償するようにしたり、顧客が既に加入済みの医療保険と組み合わせて利用できるプランを用意したりしている。

損害保険ジャパンの新しい医療保険「スマホでピタッと充実保険 入院パスポート」の主な特徴。「業界初」のサービスも
損害保険ジャパンの新しい医療保険「スマホでピタッと充実保険 入院パスポート」の主な特徴。「業界初」のサービスも
(出所:損害保険ジャパン)
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1万人以上の顧客の声をベースに新しい医療保険を開発

 業界初のサービス内容の1つに、入院準備金を入院前でも受け取れるようにするものがある。これにより、顧客はパジャマや歯ブラシ、タオルなど入院生活の必需品を買いそろえたり、入院保証金や病院までの交通費などをまかなえたりできる。

 山本暢也リテール商品業務部ヘルスケアグループ課長代理は「治療費以外で入院準備のための出費がかさむといった顧客の声を、事前調査を通して捉えることができた。(入院パスポートについては)困っているその時に使える保険にしたかった。最終的には1万人以上の声を聞き、それをベースに保険商品を開発できた」と説明する。

 実は入院パスポートで提供するサービス内容の多くは、「シリコンバレー流」の手法から生まれた。具体的には、入院パスポートを開発するメンバーが米国で、顧客の使い方に沿って製品やサービスを開発していく「ユーザーセンタード」という考え方や、ユーザーを中心に据えて製品やサービスをデザインしていく「デザインシンキング」といった手法を米シリコンバレーで直接学び、新しい医療保険の商品開発に適用した。

 新しい保険商品の開発プロジェクトは2019年4月に立ち上げた。この時点ではまだ「新しい医療保険を開発する」といった具体的な取り組み内容や保険商品のコンセプトを固めてはいなかったが、「顧客起点で開発する」という方針を掲げて発足させた。