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 東芝デバイス&ストレージとジャパンセミコンダクターは、車載アナログIC向けの高耐圧LDMOS(Laterally Double Diffused MOS)トランジスタ内の新たな挙動(動作)を見いだした ニュースリリース 。この挙動が分かったことで、電動パワーステアリングやエンジンなどに使われている耐圧80V以上のLDMOSトランジスタの設計が変わり、車載機器の信頼性向上や電力損失の低減につなげることができるとする。

 東芝デバイス&ストレージの小松香奈子氏(半導体事業部 システムデバイス事業統括部 アナログ・プロダクト部 アナログデバイス技術担当 スペシャリスト)によれば、電動パワーステアリングやエンジンに使われるLDMOSトランジスタには、モーター制御時に通常正電圧で動作させるべき回路に負電圧がかかってしまう。この際、トランジスタが破壊したり、他の素子へノイズを与えたりすることがある。負電圧入力時の問題動作が起こらないようにするために、東芝デバイス&ストレージでは、フローティングのN+層(N+ Buried Layer:NBL)を埋め込んでいる*

関連記事 * 東芝、負バイアス耐圧とESD耐量の両立で面積半分の車載LDMOS
モーター制御時に負電圧入力が発生(右図の左下のトランジスタ)
モーター制御時に負電圧入力が発生(右図の左下のトランジスタ)
(出所:東芝デバイス&ストレージ)
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負電圧入力対策の例(右)
負電圧入力対策の例(右)
東芝デバイス&ストレージでは、フローティングのN+層を埋め込んでいる。(出所:東芝デバイス&ストレージ)
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 負電圧対策としてNBLを埋め込んだLDMOSトランジスタにおいては、オン抵抗(RonA)とESD(Electro-Static Discharge)耐量(今回は、人体帯電モデル(HBM)で評価するESD耐量。以下、HBM耐量)がトレードオフの関係にあることが知られている。どちらもバックゲート比率に依存する。ここで、バックゲート比率とは、ソース幅とバックゲート幅の合計値に占めるバックゲート幅の割合を指す。バックゲート比率を上げると、オン抵抗が増加し、消費電力が上がる。すなわち、バックゲート比率は低いほうが望ましい。一方、バックゲート比率を下げると、HBM耐量が下がり、誤動作が発生しやすくなる。すなわち、バックゲート比率は高いほうが良い。設計者はオン抵抗とHBM耐量のバランスが良い点を見極めていた。

オン抵抗(RonA)とESD(HBM)耐量はトレードオフの関係にある
オン抵抗(RonA)とESD(HBM)耐量はトレードオフの関係にある
(出所:東芝デバイス&ストレージ)
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