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スマホアプリとの連携も視野

 治験は製薬企業や実施医療機関の負担が大きいため、アイロムグループなどの治験支援会社が間に入ることも多い。アイロムグループは医療機関を支援するSMO(Site Management Organization、治験施設支援機関)事業や、製薬企業の支援を行うCRO(Contract Research Organization、開発業務受託機関)事業を手掛けている。治験プロセスの全体で治験データを安全に扱えるaSBo Cloud Systemを用意することで、競合他社との差異化ポイントとする狙いがある。

 アイロムグループはaSBo Cloud Systemの提供を通じて治験の在り方の変革も視野に入れている。同システムには個人が自分自身に関するデータを安全に保存・管理できる「パーソナルデータストア」としての機能もある。健康診断結果や日々の心拍、体重、運動量といった個人の健康情報(PHR、Personal Health Record)を管理して利活用するという考え方が世界的に広がっており、治験データというPHRも自分のために利活用することができるようになる。

 また、aSBo Cloud Systemは電子カルテと連携したのと同じように、スマートフォンの健康管理アプリなどと連携することも技術的には可能だ。「新薬開発に役立つなら自分のPHRを提供しよう」という個人が増えれば、製薬企業や医療機関側も従来の治験では得られなかった日常のデータまで取得できるようになる可能性がある。健康経営に力を入れる企業のシステムなどとの連携も視野に入れているという。

 医療情報データに特化したブロックチェーン型クラウドシステムは、データの信頼性を担保し現場の負担を軽減するだけでなく、これまで医療機関と製薬企業、それらの支援会社しか関与してこなかった治験の裾野を広げる力も秘めている。治験へのブロックチェーン技術の応用はデジタル医療スタートアップのサスメド(東京・中央)も取り組んでおり、今後様々なサービスが登場する可能性がある。