全4333文字
PR

斜めにしてアンダー部へ接着剤を塗布

 こうして完成したCFRPのボディー部品は組立工程へと投入される。ここでも、従来にない工夫が多く求められた。やはりアンダー部の存在がネックになった。難しかったのが部品の接着工程だ。

 組立工程ではCFRPのボディー部品にさまざまな小さな樹脂部品を接着している(図7)。ここでは接着剤を自動機で塗布し、治具で位置合わせした部品を配置している。ところが、従来の自動機は3軸制御で動くため、アンダー部の表面に接着剤を塗布できない。

図7 樹脂部品を接着した後の天板
図7 樹脂部品を接着した後の天板
ヒンジ側(写真左)のアンダー部に幾つもの樹脂部品を接着する必要がある。(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 最初は樹脂部品に接着剤を塗って、位置合わせする方法を検討した。しかし、樹脂部品を治具に配置する際に、接着剤が手に付いてしまう可能性があり作業性が悪い。両面テープは強度上の問題(剛性が低下する)から採用できない。

 そこで考え出したのが、アンダー部に接着剤を塗る際、CFRP部品を斜めにする方法だ(図8)。自動機に、天板の角度を変える仕組みを新たに設けた。アンダー部に接着剤を塗布し終わったら天板の角度を変え、他の部分に塗る。

図8 天板に接着剤を塗布する装置
図8 天板に接着剤を塗布する装置
真下を向いた吐出口から、天板のアンダー部に接着剤を塗布するため、天板を斜めに傾ける治具を追加した。(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 部品を配置する際も、CFRP部品を斜めにした状態で、部品を配置した治具をアンダー部に差し込み、角度を戻してから治具を押し付けて接着するようにした(図9)。単純に横へとスライドさせる方法では、塗布時に盛り上がっている接着剤に部品が接触する可能性があるためだ。

図9 天板のアンダー部に部品を接着する仕組み
図9 天板のアンダー部に部品を接着する仕組み
接着剤の塗布時と同じように天板を斜めにしてから部品をスライドして差し込み、天板の角度を戻すと同時に部品を押し付けて接着する。(出所:VAIO)
[画像のクリックで拡大表示]

 このような方法とすることで、CFRP部品の角度を変える仕組みは追加したものの、接着剤を塗布する自動機は従来のものをそのまま使えるようになった。治具への部品配置の作業も従来と同じ方法で済む。

 樹脂部品をCFRP部品に真上から組み付けられなくなった部分がもう1つある。ボトムケースへの樹脂部品の接着だ。この樹脂部品はボディーの一部を構成するもので、USBコネクター装着部にリブが突き出ている。このリブを、CFRPを折り曲げて立たせてあるボトムの側面の穴に差し込まなくてはならない。つまり、この樹脂部品を直線的に動かしてはボトムの側面と干渉してしまうのだ。

 そこで、この部品を組み付ける際にボトムを一時的に湾曲させ、側面の穴の内側が樹脂部品を向くようにした(図10)。人手で湾曲させる方法も考えたが、組み付けの位置精度を安定させるため、ボトムケースの位置決めと湾曲を行う治具を開発したという。

図10 ボトムを湾曲させているところ
図10 ボトムを湾曲させているところ
この状態で樹脂部品を押し付け、干渉を回避する。(写真:益永淳二)
[画像のクリックで拡大表示]