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スマホで接種後の健康状況を報告

 では、国は接種後の健康状況をどう把握しているのか。

 予防接種法ではワクチン接種後の副作用が疑われた場合、診察した医師が「副反応疑い報告」を出す。ただし新型コロナワクチン接種では、初めてのワクチンを短期間に多数の住民に接種する。このため、厚労省は接種後の発熱や接種部位の腫れといった健康状況の変化をアンケートで調べる「予防接種後健康状況調査」を実施している。

 米ファイザー製のワクチンについては先行接種を受けた約2万人の医療従事者を対象に調査したほか、5月24日からは米モデルナ製のワクチンについて約1万人の自衛隊員を対象に調査を実施している。厚労省はこうした健康状況調査の結果を検討会やWebサイトで公表してきた。

 一般の接種者については、当初の計画では4月以降に希望者を対象に調査を実施。3種類のワクチンそれぞれについて約50万人にアンケートを実施する計画(それぞれ2回接種するため、計300万接種分)だった。従来の定期接種では、はがきを使って同様のアンケートを実施していたが、今回は迅速に集計するため、SNSを活用するとしていた。ただ「調査方法などを検討中で、準備が整い次第始める」(厚労省予防接種室)としたまま、いまだに始まっていない。

 米疾病予防管理センター(CDC)は、新型コロナワクチン接種後の健康状況調査において、スマホから登録できる「V-safe」と呼ぶ仕組みを運用中だ。接種を受けた本人が登録すると、テキストメッセージが定期的に届き、健康状態を報告する。この仕組みを活用して収集したデータを使い、妊婦の接種後の健康状況を把握し安全性を確認するといった研究にも活用されている。

 今後、64歳以下への接種や企業などでの集団接種「職域接種」が本格的に始まる。国民が安心して接種するための情報提供に加え、ワクチンの安全性や効果を改めて検証するためにも、国として大規模な接種後健康状況調査が必要だ。