全1711文字
PR

 ホンダが2021年秋に日本で発売する新型の中型車「シビックハッチバック」は、ホットスタンプ(高張力鋼板の熱間プレス材)の使い方を変えて側面衝突に対応した。新たな車両の設計・開発手法「ホンダ・アーキテクチャー」の適用に合わせて、グローバルの部品調達を容易にすることなどが理由である。

 現行車ではセンターピラーに、スペインGestamp Automocion(ゲスタンプオートモシオン、以下ゲスタンプ)が供給する「部分ホットスタンプ(パーシャルホットスタンプ)」注)を使っている。新型車ではゲスタンプの材料を使わず、通常のホットスタンプと高張力鋼板の冷間プレス材を組み合わせた(図1)。

注)ゲスタンプの部分ホットスタンプは、部品の場所によって強度を変えられるのが特徴。熱間プレス後に金型内で速く冷やした部分は「焼き入れ効果」によって強度が上がり、ゆっくり冷やした部分は「焼鈍(焼きなまし)効果」によって強度が低くなる。冷却方法の調整によって、部品の場所ごとに強度を変える。

シビックハッチバック
図1 ホンダの新型「シビックハッチバック」
ホットスタンプの使い方を変えて、側面衝突に対応した。(撮影:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]

 ホンダは新型シビックシリーズ(ハッチバックとセダン)を日本と北米で販売する計画であり、日本にはハッチバックを、北米にはハッチバックとセダンを投入する。ハッチバックは日本の寄居工場(埼玉県寄居町)と北米の工場、セダンは北米の工場で生産する予定だ。

調達のしやすさなどを重視

 同社四輪事業本部ものづくりセンター完成車開発統括部の車両開発三部開発管理課でチーフエンジニアを務める山上智行氏は、「グローバル生産に対応するため、材料の調達のしやすさなどを勘案して、部分ホットスタンプではなく、今回の材料を採用した」と話す。

 新型車のボディー骨格への高張力鋼板の使い方を見ると、センターピラーの上部に引っ張り強さが1.5GPa級のホットスタンプ、同下部に780MPa級の冷間プレス材を使う。2つの部品をそれぞれプレス成形した後に、溶接して製品に仕上げる。

 側面衝突時の衝撃で乗員室を変形させないために、センターピラー上部には1.5GPa級のホットスタンプを使った。センターピラー下部に780MPa級の冷間プレス材を適用したのは、側面衝突時の衝撃で折れないようにするためである。

 サイドシルやフロントピラー、ルーフ・サイド・レール(ルーフレール)などにも、1.5GPa級のホットスタンプを使った。これらの対策によって、通常の側面衝突より条件が厳しい「ポール衝突」にも対応する。ボディー骨格全体に対するホットスタンプの使用比率(質量比)は13%に達する。780MPa級以上の超高張力鋼板では、ホットスタンプの使用比率が最も高い(図2)。

新型車のボディー骨格
図2 新型車のボディー骨格
センターピラーは通常のホットスタンプと冷間プレス材を組み合わせた。(出所:ホンダ)
[画像のクリックで拡大表示]