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 東芝と東芝デバイス&ストレージは、新しい構造で電力損失を大幅に低減できるSi(シリコン) IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を試作し、パワー半導体の国際会議「ISPSD 2021」(2021年5月30日から6月3日、オンライン開催)で発表した。従来のSi IGBTに比べて、スイッチング損失を最大約4割削減可能である。IGBTはパワー半導体素子の1つで、産業機器や鉄道、再生可能エネルギー、自動車など、幅広い用途で利用されている。こうしたIGBTに今回の新構造を適用できるとみる。既存の製造プロセスの変更もわずかで済むことから、製造コストはわずかな上昇にとどまるとみている。量産する場合は、東芝デバイス&ストレージが製造する。

東芝のグループが試作した新型IGBT
東芝のグループが試作した新型IGBT
ゲートが3つある「トリプルゲート構造」を備える(出所:東芝)
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 Si IGBTはさまざまなパワーエレクトロニクス機器に採用されている。ところが実用化されてから30年以上が経過し、世代を重ねるごとに性能向上の伸びしろが小さくなってきた。今回の新構造を適用することで、その限界を突破できる。東芝は「脱炭素」の切り札として期待を寄せる。

(出所:東芝)
IGBTの性能向上にかげり
世代が進むごとに、世代間で低減できる損失の幅は小さくなっている
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