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 NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)を巡って、複数の業界団体がそれぞれルールづくりに向けて動き出した。NFTの専門組織を立ち上げる団体もあり、複数省庁にNFTの法的位置づけについての議論を求める動きが広がっている。

 NFTはデジタルコンテンツに固有ID(識別子)や所有者の情報などをデジタルコンテンツに付与して、ブロックチェーン技術を利用して唯一無二のものとして管理できる仕組み。海外ではNFTを付与した画像データなどが投機的に取引されるといった話題が目立つ。

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法規制を受ける可能性を、フローチャートで整理

 このうち暗号資産(仮想通貨)の関連企業が会員企業の中心である日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は2021年4月、自主的に「NFTビジネスに関するガイドライン」を作成し公表した。

 金融分野の法規制の対象である暗号資産や有価証券と比較しながら、NFTの法的性質を検討する際に参考となるフローチャートをまとめている。NFTが金融商品取引法などの規制対象に該当するか否か、個別具体的に検討する必要があると指摘している。

日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)がまとめた「NFTビジネスに関するガイドライン」のNFTの法規制に係る検討フローチャート
日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)がまとめた「NFTビジネスに関するガイドライン」のNFTの法規制に係る検討フローチャート
(出所:日本暗号資産ビジネス協会)
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 JCBAがフローチャートをまとめた狙いは、マネーロンダリング(資金洗浄)の防止である。マネーロンダリングは犯罪組織などが捜査機関による差し押さえや摘発を逃れるために資金の出所を分からなくするといった行為である。JCBAはまず、匿名の顧客によるNFTの悪用を防ぐルールを検討した格好だ。

 NFTはさらに、設計次第で金融商品としての規制が及ぶ恐れがある。実際に海外ではオンラインゲームの中で土地を売買して賃貸収入のように収益の分配ができるものや、スポーツ選手の試合中の動画を売買するカードゲームでは「ガチャ」に似た要素もあり、換金性があるNFTの仕組みによっては賭博に該当する可能性があるという。

 このため海外で売買されるNFTの一部は、国内では法規制に抵触する恐れが否定できない。JCBAのNFT部会長であるコインチェック執行役員の天羽健介氏は「海外では問題なくても、日本で規制が及ぶものは仕様を一部変更しているものがある」と話す。

 JCBAは、国内のゲーム関連企業から成るコンピュータエンターテインメント協会(CESA)といった業界団体とも意見交換してガイドラインをまとめた。今後NFTが普及する分野に応じて、金融庁や総務省、経済産業省、警察庁などと議論してガイドラインを適宜改定する方針という。

コンテンツやブロックチェーンの業界もルール作り

 コンテンツ関連業界もルール作りに乗り出した。大手新聞社や広告会社といったコンテンツ関連企業で構成するJapan Contents Blockchain Initiative(JCBI)は2021年6月1日に「コンテンツを対象とするNFT(Content-NFT)についての考え方」という意見書を公表した。