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 世界で研究開発が進む次世代の物流構想「フィジカルインターネット」をめぐり、日本の存在感が増している。ヤマトグループ総合研究所(ヤマト総研)と野村総合研究所(NRI)は2021年6月16日、国際会議「第8回国際フィジカルインターネット会議(International Physical Internet Conference、IPIC)」で日本国内における最新状況について発表した。国内のフィジカルインターネット関連の取り組みをIPICで公表したのは今回が初めて。

第8回国際フィジカルインターネット会議(IPIC)の公式サイト
第8回国際フィジカルインターネット会議(IPIC)の公式サイト
(出所:IPIC)
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 フィジカルインターネットとは、オープンなインターネットを通じてデータを運ぶ仕組みを物流網に取り入れるという新たな物流構想だ。トラックや倉庫といった物理的な物流資源に関する情報を物流企業同士でシェアし、それらを互いに利用し合う仕組みである。大都市圏に中核拠点を設け、そこにいったん荷物を集めてから各地に仕分けて送る従来型の物流網とは根本的に異なる。

 フィジカルインターネットが実現すれば輸送・保管スペースの稼働率を大幅に高められる。加えて、荷物の運搬にかかる燃料を節約できるため環境への負荷軽減にもつながる。世界の物流企業や研究機関などはこうした利点に着目して2014年からIPICを毎年開催。最新動向について情報共有しながら研究や実証に力を注いできた。

 8回目となる今回のIPICは、2021年6月14日から3日間にわたりオンラインで実施された。最終日の16日、上智大学名誉教授でヤマト総研の専務理事を務める荒木勉氏がオーガナイザーを務める「日本における物流革新の取り組み:課題と展望」と題するセッションを開催。冒頭では野村総合研究所の水谷禎志上席コンサルタントが、日本におけるフィジカルインターネットの取り組み状況を解説した。

 具体的には、ヤマト総研が2019年9月に米ジョージア工科大学、2020年8月にはパリ国立高等鉱業学校と、それぞれフィジカルインターネットに関する情報の交換や発信などで相互協力する覚書を締結したことに言及。また、荷主や物流業、不動産業などで構成するフィジカルインターネット研究会の設立や国内外の有識者を集めたシンポジウムの実施など普及啓蒙活動について紹介した。