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 コマツはホンダと組んで「電池交換式」の小型建機を開発し、2021年度中の市場投入を目指す。21年6月10日に両社共同で発表した。ホンダが手掛ける交換式電池パックを適用。残量が減ったら充電済みのものと入れ替える仕組みで、慣れれば10秒以内に稼働を再開できる。稼働率をいかに高めるかが競争軸の建機業界。同仕組みの導入で電動化が一気に進む可能性がある。

コマツとホンダが開発した「電池交換式」小型建機の試作車
コマツとホンダが開発した「電池交換式」小型建機の試作車
(a)試作車の外観、(b)電池パック交換の様子。試作車では2個の電池パックを搭載可能。1個当たりの容量は約1kWhで、質量は約10kgである。パナソニック製の円筒型リチウムイオン電池セルで構成する。(出所:コマツとホンダの資料を基に日経クロステックが作成)
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 「『電動化』は将来の事業のキーになる。質量1t以下のマイクロショベルなら、急速充電器が使える電池交換式で運用できる。それより少し大きなミニパワーショベルなら、安全を確保した上で建屋から給電すればよい」――。

 コマツ社長兼CEO(最高経営責任者)の小川啓之氏は21年3月、日経クロステック/日経ものづくりの取材に応じ、電動建機の給電戦略についてこう語っていた。

ホンダ製エンジンからモーターに

 小川氏の発言を具体化したのがホンダとの発表といえる。21年度中の市場投入を目指す電動建機は、質量0.3tのマイクロショベル「PC01」をベースとする。「市場導入車の性能・仕様は非公表」(コマツ)であるが、公開した試作車では電池パックを2個搭載できるように車両後部を刷新。さらに、ホンダ製の排気量163cc空冷4サイクルエンジンから、同社製の電動モーター機構「eGX」に変更した。

 車格が小さいため大容量かつ高出力の電池パックは載せられない。しかしその分、小さく交換しやすい電池パックで動かせる。同方式を電動建機の1つの“解”として位置付け、今後は質量1t級まで適用を広げたい考えだ。

 建設・土木現場で使う機材にも同電池パックを使っていく。これら建機や機材は特定の作業範囲で活用するため、広範囲を移動するクルマやバイクに比べて電池を交換しやすい。

 ホンダが手掛ける交換式電池パックの名称は「Honda Mobile Power Pack」。18年11月にリース販売を始めた電動(EV)スクーター「PCX ELECTRIC」で初採用し、今では商用EVスクーター「BENLY e:(ベンリィ イー)」シリーズを中心に適用を広げつつある。

 1個当たりの容量は約1kWhで、質量は約10kgである。試作車には2個搭載できるため、合計容量は約2kWhで、合計質量は約20kgとなる。パナソニックから調達した円筒型のリチウムイオン電池セルで構成している。電池パックの寸法は、実測値でおよそ全長145×全幅170×全高300mmである。