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 全国の自治体などが独自に実施してきたQRコードを使った新型コロナウイルスの感染対策システム。うまく活用すれば感染対策に効果があるとして、2021年6月16日に政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会で尾身茂会長らが活用を提言した。

 ただ、現状は全国でQRコードを使った新型コロナ感染対策システムが乱立しているほど広まっているにもかかわらず、期待ほどの効果を上げているとは言いがたい。そこで神奈川県では、課題だった「利用する動機付け」を解消することで効果を高める取り組みを始めた。

入店時と退店時、2回QRコードを読み込む

 神奈川県は新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」の延長を受け、2021年6月21日から追加の感染対策の一環にQRコードの活用を盛り込んだ。同日から県下の6市で、飲食店での酒類提供を従来の「禁止」から「午後7時までの提供」に変更したが、協力金交付の条件として「滞在時間90分間」「4人以内」などを課し、店舗には入退店時の記録管理を求めた。この記録管理として、QRコードを使った新型コロナ感染対策システムの利用を促している。

 具体的には、神奈川県が2020年5月に導入した「LINEコロナお知らせシステム」を使う。店を訪れた客が店舗内に提示されたQRコードを自身のスマートフォンで読み込むと、システムに登録される。来店客に新型コロナ感染者が発生した場合、保健所が濃厚接触などの感染リスクがあると認めた客にシステムがLINEアプリ経由で「お知らせ」を送る仕組みだ。東京都や埼玉県、沖縄県などが採用しており、神奈川県では約6万店の飲食店が導入している。

 従来は客が店を訪れる際にQRコードを1回読み込んでもらっていたが、このほど神奈川県はデータベースを改修した。その上で6月21日以降、客に「入店時」と「退店時」の2回読み込んでもらう運用に改めた。これにより、店舗側は利用者の滞在時間を自動的に管理できるようになる。

QRコードを印字した案内を飲食店のテーブルなどにを置き、入店時と退店時に利用者に読み込んでもらう
QRコードを印字した案内を飲食店のテーブルなどにを置き、入店時と退店時に利用者に読み込んでもらう
(撮影:日経クロステック)
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 神奈川県は入退店時の記録について紙ベースでも認めているが、QRコード活用によって、「店舗にとっての運用管理が楽になる」(神奈川県の担当者)とする。運用の負荷を減らしたことが店舗にとってQRコード活用の動機付けになると考えているわけだ。今回神奈川県は約2万7000店舗での活用を見込んでいる。