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 ドイツBosch(ボッシュ)が、電動油圧ブレーキ「iBooster」を日本で生産することを決めた(図1)。30億円の設備投資を実施し、栃木工場で2022年後半から製造を開始する予定である。日本の自動車メーカーの要求に応じる形で、現行品から小型化した製品も用意する。

図1 ボッシュの電動油圧ブレーキ「iBooster」
図1 ボッシュの電動油圧ブレーキ「iBooster」
2016年末に量産を開始した第2世代品で、SUBARU(スバル)「レヴォーグ」やトヨタ自動車「ヤリス」などに採用されている。ESC(横滑り防止装置)と組み合わせて使う。(撮影:日経Automotive)
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 「iBoosterは当社にとって次世代の主力製品になる」――。21年6月17日に開いた会見で、ボッシュの日本法人で社長を務めるKlaus Meder(クラウス・メーダー)氏は力を込めた。

 電動油圧ブレーキは、内蔵するモーターでブレーキのマスターシリンダーを押し、油圧を制御するもの。負圧を発生させるエンジンがない電気自動車(EV)や負圧を確保しにくいハイブリッド車(HEV)などでは一般的。一方のエンジン車は、エンジンの吸気負圧を利用する真空ブースターを使うことがほとんど。自動車市場全体でみれば電動油圧ブレーキの搭載率は10%程度と低い。

 だが、数年以内に状況は大きく変わる。電動油圧ブレーキが、ブレーキの主役に上り詰めようとしている。ボッシュは、電動油圧ブレーキ市場は「20年から27年にかけて年率20%以上で拡大すると見込んでいる」(メーダー氏)という。

 市場拡大をけん引するのは、電動化と自動運転/先進運転支援システム(ADAS)の市場の拡大である。電動化に関しては、“負圧の奪い合い”が電動油圧ブレーキの採用を後押しする。

 HEVは走行中でも積極的にエンジンを停止させるように制御しているが、その弊害としてしばしばブレーキの負圧が足りなくなる。その結果、負圧を確保するためだけにエンジンを回すという事象が発生する。電動油圧ブレーキであれば、エンジンの回転状況に左右されずに安定してブレーキを作動させられる。

 自動運転/ADASに関しては、自動ブレーキ機能の強化を目的に電動油圧ブレーキの採用を強化する自動車メーカーが増えつつある。例えばSUBARU(スバル)は、20年11月末に発売した新型「レヴォーグ」に電動油圧ブレーキを採用した。