全2085文字
PR

 衛星データの利用を促進する――。政府が2017年5月に「宇宙産業ビジョン2030」を公表して以降、その柱である宇宙利用産業の創出、つまり衛星データを利用する機運は一時的に高まりを見せた。しかし、実のところ現在でもこの取り組みはあまり進んでいない。こうした現状を打破しようと、宇宙関連事業を手掛ける企業などがタッグを組んだ。

 三菱電機、パスコ、アジア航測、スカパーJSAT、日本工営、一般財団法人リモート・センシング技術センターの6社は21年6月、「衛星データサービス企画」を設立した。災害時の迅速な状況把握や平時の継続的な国土・インフラ監視などのために、共通して利用できる衛星データ解析情報提供サービスを事業化することが目的だ。本格サービスの開始は23年度を予定しており、それに向けて今後、事業検討を進めていく。新会社への出資比率は、三菱電機が25%、パスコが20%、アジア航測とスカパーJSAT、日本工営が15%、リモート・センシング技術センターが10%である。

衛星データサービス企画の事業イメージ
衛星データサービス企画の事業イメージ
(図:衛星データサービス企画)
[画像のクリックで拡大表示]

 20年6月に閣議決定された「第4次宇宙基本計画」では「災害対策・国土強靭化や地球規模課題の解決への貢献」が新たに明記され、衛星データ利用の推進に対する期待は大きい。一方、これまでの衛星データ利用事業では、主に以下の3点で普及に障壁があった。

 1.データの解析に手間がかかる、2.コストが高い、3.災害やインフラ監視などにおいて実利用への適用可能性(精度や制約条件など)が十分に検証されておらず、衛星データの利用基準が定められていない、である。

 1について三菱電機 宇宙システム事業部宇宙システム開発センターセンター長の水谷雅人氏は、「衛星データを用いた変異・変化の解析には様々なノウハウが必要で手間がかかる。かなりの玄人技だ」と話す。加えて2のコストについては、「例えば海外の商用衛星だと10km四方のデータで数十万円はする」(同氏)という。