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 病院のベッドの稼働状況をリアルタイムに把握する――。これまで難しかったリアルタイムでの把握が、電子カルテから得たデータの分析で可能になってきた。草津総合病院(滋賀県草津市)は2021年4月に、GEヘルスケアが提供するシステム「コマンドセンター」を日本で初めて導入した。効率的な病床の稼働状況の把握と管理運用につながっているという。

コマンドセンターの情報を活用しながら病床管理を実施する
コマンドセンターの情報を活用しながら病床管理を実施する
(出所:草津総合病院)
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 コマンドセンターは電子カルテや医療スタッフの勤怠情報、医療機器などのデータをリアルタイムに分析することで、病床の稼働状況や各病棟に必要な看護師の人数、患者のバイタル情報など様々な院内の状況を可視化するもの。2016年に世界で初めて米国ジョンズ・ホプキンス大学病院が導入した。

 医療スタッフらは病院内に設置したディスプレーや各病棟のコンピューターで、分析結果を確認できる。病床の稼働状況をはじめ、病床ごとに対応する看護師の状況や重症患者のバイタル状況、将来の入院患者需要の予測などに関する情報がある。それらの情報を病床の確保や人材の配置などの決定に利用している。草津総合病院が導入後に得た効果の一つは、救急搬送された患者が入院する病床を効率的に確保しやすくなったことだという。

 病床管理は多くの病院で手間をかけて実施されている。ベッドがいつ空くのか、予定通りに空いたのか、同室にしても大丈夫かを確認するために各病棟と何度もやり取りする。一般的に電話やメール、会議などで病床の状況を共有するが、各病棟の病床状況を確認しても、1時間後にはすぐに古い情報になってしまう。そのため現場への確認を何度も繰り返す必要がある。

 さらに草津総合病院は病棟の1つを新型コロナウイルス感染症患者向けとしており、一般の入院患者用の病床が43減っている。救急で運ばれた患者が入院するベッドを効率的に確保し、稼働率を上げていくことが求められていた。

 コマンドセンター導入後、各病棟の病床の稼働状況がリアルタイムに表示されるようになった。「コマンドセンターで状況を把握してから電話をかけるのでスムーズにベッドを確保できる。これまで1日の病床の稼働率は頑張っても303床中の92%ほどだったが、現在は96%ほどまで上がってきた」と草津総合病院 看護部長の伊波早苗氏は話す。空いているベッドの同室患者の性別や病状なども分かるため、新規の入院患者にとって適切かどうか判断するのに役立っているという。