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 日立製作所の小島啓二社長兼COO(最高執行責任者)は2021年6月29日までに、メディア向けのインタビューに社長就任後初めて応じた。小島氏は「企業体質はだいぶ強くなった」と語り、新型コロナウイルス禍のような非常事態に陥っても、安定して1兆円の営業利益を出せる会社にする方針を示した。

日立製作所の小島啓二社長兼COO
日立製作所の小島啓二社長兼COO
(撮影:日経クロステック)
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 小島氏は2021年6月23日、社長に就任した。日立はリーマン・ショック後の2009年3月期、当時製造業で過去最大となる7873億円の連結最終赤字を計上した。小島氏はそれ以降の事業構造改革で「成長の基盤ができた」と説明。そのうえで「成長をドライブすることが自分の(トップとしての)役割だ」と話した。

 社長就任に先駆けて、小島氏は2021年6月8日に開いた機関投資家向け説明会で、2026年3月期までに連結の調整後営業利益を1兆円超(2021年3月期は4951億円)に増やす方針を掲げた。小島氏はこの目標の真意を問われ、「逆境の中でも揺るがずに1兆円の利益を出す会社をつくる。これが(東原敏昭会長兼CEO=最高経営責任者から)受け取ったバトンだ」と力を込めた。

北米とインドを中心にマネジメント

 営業利益1兆円という目標の達成に向けて、けん引役と位置付けるのがIoT(インターネット・オブ・シングズ)関連のLumada事業だ。小島氏自身、日立が2016年にLumada事業を始めた時の責任者で、「Lumadaの生みの親」といえる存在。今度は日立の社長として、Lumada事業を引っ張っていく立場になる。

 Lumada事業の課題はグローバルでの事業基盤の弱さだ。これを補うため、2021年7月末までに約1兆円を投じて米IT企業のGlobalLogic(グローバルロジック)を買収する。グローバルロジックを核にしたLumada事業の海外展開に当たっては、「北米とインドのラインでマネジメントしていく」とした。

 グローバルロジックは顧客との協創を進める「デザインスタジオ」を世界8カ所に展開する。こうしたグローバルロジックのリソースと日立の人材や技術などを掛け合わせ、2021年3月期で3割程度にとどまるLumada事業の売上収益(売上高に相当)に占める海外比率を引き上げていく。

 今や日立の大黒柱といえるITセクターに関しては、これまでは顧客企業の業務改革の支援が中心で、「製品を革新するIT部隊は実はいなかった」と語った。グローバルロジックは「デザインシンキング」に精通したメンバーを多く抱えており、「製品を開発する会社に出向いて、デジタル技術でイノベーションを起こせる」と期待を寄せた。

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