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 米Akamai Technologies(アカマイ・テクノロジーズ)のセキュリティーベンダー化が著しい。セキュリティー関連事業の年間売上高は10億ドルを突破し、今や全社売り上げの約30%を占める。Tom Leighton(トム・レイトン)CEO(最高経営責任者)に、セキュリティー事業に注力する理由などを聞いた。

 アカマイと言えばCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)事業者との印象が強いが、近年における同社の成長はセキュリティー事業がけん引している。2020年12月期決算ではクラウド・セキュリティー・ソリューション事業の売上高は前年比25%増の10億6200万ドルに達した。

アカマイの業績推移
アカマイの業績推移
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 同社のCDN事業は近年、米Fastly(ファストリ-)など新興の台頭を受けて1ケタ台前半の成長率にとどまっている。一方クラウドセキュリティー事業は年率20~30%台の成長を続けている。2021年5月に発表した2021年1~3月期決算からクラウド・セキュリティー・ソリューションの分類はセキュリティー・テクノロジー・グループに改称されたが、事業内容は変わっていない。同事業の売上高は3億1000万ドル(前年同期比29%増)と好調を維持している。

 「アカマイのセキュリティー事業の始まりは2001年」(レイトンCEO)であるため歴史は古いが、本格的に事業が成長し始めたのはここ数年のことだ。セキュリティー企業の買収による製品ラインアップの拡充が奏功した。

アカマイが近年行った主なセキュリティー企業買収
買収年企業名分野現在の製品名
2014年Prolexic Technologies(プロレキシックテクノロジーズ)DDoS対策Prolexic Routed
2015年Xerocole(ゼロコール)DNSセキュリティーCacheServe and AnswerX Resolvers
2015年Bloxx(ブロックス)セキュアWebゲートウエイEnterprise Threat Protector
2016年Soha Systems(ソーハシステムズ)アイデンティティー認識型プロキシーEnterprise Application Access
2016年Cyberfend(サイバーフェンド)ボット検出Bot Manager
2017年Nominum(ノミナム)DNSセキュリティーCacheServe and AnswerX Resolvers
2019年Janrain(ジャンレイン)IDプラットフォームIdentity Cloud
2019年KryptCo(クリプトコ)多要素認証MFA
2019年ChameleonX(カメレオンエックス)Webサイト防御Page Integrity Manager
2020年Asavie(アサビー)IoTセキュリティーAsavie
2021年Inverse(インバース)IoTセキュリティーSOGo、PacketFence

ゼロトラストが追い風に

 アカマイのセキュリティー事業にとって大きな転機となったのは、2015年の米Bloxx(ブロックス)買収による「セキュアWebゲートウエイ(SWG)」への参入と、2016年のSoha Systems(ソーハシステムズ)買収による「アイデンティティー認識型プロキシー(IAP)」への参入だ。

 SWGはエンドユーザーによるインターネット通信をチェックするゲートウエイ(門番)だ。ユーザーが不審なIPアドレスやURLへアクセスしようとした場合に、その通信をブロックする。

 IAPはユーザーとアプリケーションの間に入って通信を仲介するプロキシーだ。社内ネットワーク(オンプレミス)に「コネクター」と呼ぶサーバーを設置すると、コネクターとIAPが連係して、オンプレミスにあるアプリケーションがインターネット経由で利用可能になる。

 SWGとIAPはリモートワークに非常に向いている製品だ。SWGを使えばユーザーがオンプレミスにいる場合も、自宅など社外ネットワークにいる場合であっても、インターネット上の脅威からユーザーを保護できる。またIAPがあればVPN(仮想私設網)が無くても社内アプリケーションが社外から利用できるようになる。

 かつてのアカマイのセキュリティー事業は、Webアプリケーションファイアウオール(WAF)やDDoS(分散サービス拒否)攻撃対策など、インターネット上に公開するWebアプリケーションを保護する製品が中心だった。それに対してSWGとIAPは企業の一般ユーザーを対象とした製品であり、事業の幅が一気に広がった。