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 東芝は、最長測定距離が200mの3次元レーザーレーダー(LIDAR)を、同社従来比で解像度4倍(300×80画素から1200×80画素)、画角約6倍(7×7度から24×12度)、感度1.5倍、容積約3分の1(1300ccから350cc以下)と小型・高性能化する受光技術を開発した(図1、2)。同社によれば、測定距離が200mの非同軸型ソリッドステート式LIDARでは、世界最小かつ世界最高解像度という。また、温度や振動、風圧への耐性も向上させているという。

図1 東芝が試作したLIDARモジュール
図1 東芝が試作したLIDARモジュール
測定距離が200mの非同軸型ソリッドステート式LIDARでは、世界最小かつ世界最高解像度という。(出所:東芝)
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図2 試作したLIDARモジュールによる測定例
図2 試作したLIDARモジュールによる測定例
(出所:東芝)
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 今回の小型・高性能化のために東芝が取り組んだのは、感度を落とさずに解像度を高める受光技術の開発である。解像度を上げるだけなら、受光デバイスとして使うSiPM(Silicon Photo Multiplier)を微細化すればよい。だが、同社のSiPMは、受光セル(受光領域)だけではなく、受光セルのインターフェースになったり光を受けて飽和した受光セルをリセットしたりする役割を持つトランジスタ回路(非受光領域)を含む(図3)。そのため、非受光領域であるトランジスタ回路も合わせて微細化する必要があるが、トランジスタを小さくすると、トランジスタの耐圧が低下し、受光セルに印加できる電圧を下げなければならず、受光セルの感度が低下するという課題があった。

図3 受光領域と非受光領域から成る東芝のSiPM
図3 受光領域と非受光領域から成る東芝のSiPM
(出所:東芝)
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 その課題を解決するために講じたのが、「ハイブリッド混載」「絶縁トレンチ」と呼ぶ技術の導入である(図4)。ハイブリッド混載とは、前述のトランジスタを、従来の中耐圧品数十個の構成から、高耐圧品数個と低耐圧品数十個といった“ハイブリッド”構成に変えることを指す。受光セルに近い数個のトランジスタを高耐圧品、それ以外は低耐圧品として、受光セルに印加する電圧を下げなくて済む構成にした。

図4 LIDARの小型・高性能化に寄与した2つの技術
図4 LIDARの小型・高性能化に寄与した2つの技術
(出所:東芝)
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 同社研究開発センター上席研究員の崔 明秀氏は、「高耐圧のトランジスタは大きいが、(受光セルとの)インターフェースのところの数個だけ。その後のリセット処理には低耐圧のトランジスタを使う。低耐圧のトランジスタは小さく、数十個と多くてもトータルでは小さな面積にできる」と説明する。