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 三菱電機で再び品質不正問題が発覚した。(1)鉄道車両向け空調装置と(2)同空気圧縮機ユニットにおいて不正な検査を行っていたことが社内調査で判明。不正に手を染めていたのは、長崎製作所(長崎県時津町)。定められた検査を行わず、品質データをねつ造するなどの行為が見つかった。

 三菱電機は「不正検査が過去30年以上にわたって続けられていた」という報道内容の真偽についてはノーコメントとし、「顧客への説明を終えた製品については安全や機能、性能に問題はないことを確認した。不適切な検査の内容についてはコメントを差し控える」「監督官庁である経済産業省には一報した」と2021年6月30日午前に回答。同日夜に概要を説明したリリースを発表した。「原因を究明し、再発防止策を策定後に速やかに公表する」「同事象の有無について、外部の弁護士等を含む調査委員会を組成して点検する」(三菱電機)という。

新たな品質不正が発覚した三菱電機
新たな品質不正が発覚した三菱電機
鉄道車両向け空調装置および同空気圧縮ユニットで不正な検査を行っていた。(写真:日経クロステック)
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 品質不正の内容は、(1)の鉄道車両向け空調装置では、購入仕様書の記載とは異なる検査を行っていた一方で、必要な検査を実施していなかった上に、検査成績書に不正な記載を行っていたことが同年6月14日に判明した。(2)の鉄道車両向け空気圧縮機ユニットでは、購入仕様書の記載とは異なる検査を実施し、逆に必要な検査を省いていたことが同月28日に分かった。

品質不正の内容
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品質不正の内容
(三菱電機の資料を基に日経クロステックが作成)

3度の全社点検をすり抜ける

 「深刻な隠蔽体質と言わざるを得ない」──。品質管理に詳しいある専門家(以下、品質の専門家)は、三菱電機の品質管理に対する姿勢をこう断じる。「品質不正に対する正しい考え方が組織内で浸透されていない証拠だ」(同専門家)と。

 というのも、同社はこれまでに品質監査(品質保証体制の点検)を3度行っているにも関わらず、生産および設計開発の現場が品質不正の隠蔽を繰り返しているからだ。その後、品質不正が発覚したケースは今回で6例目を数える。

三菱電機における品質不正の連鎖
三菱電機における品質不正の連鎖
これまで3度の品質監査(全社点検および全社再点検)を実施しているものの、新たな品質不正の発覚が続いている。深刻な隠蔽体質にあると言わざるを得ない。(写真:日経クロステック)
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 具体的には、[1]トーカン(千葉県松戸市)のゴム製品、[2]菱三工業(神戸市)の鋳造製品、[3]三菱電機の高耐圧パワー半導体モジュール、[4]同社の車載オーディオ機器用ラジオ受信機(車載ラジオ)、[5]同社の電磁開閉器関連製品、[6]同社の鉄道車両向け空調装置および同空気圧縮機ユニット、である。三菱電機およびグループ会社の隠蔽体質は、[1]トーカンのゴム製品の品質不正が発覚した2018年1月から3年半が経過した今なお続いている。

 三菱電機は、自社およびグループ会社を対象に品質監査「全社点検」を2016年度と2017年度の2度にわたって実施した。前者は、2016年4月に三菱自動車による軽自動車の燃費試験不正が発覚したのを受けたもの。後者は、神戸製鋼所発で社会問題化した「品質データ偽装事件」を受けた日本経済団体連合会(経団連)の要請を受けたものだ。両監査の結果、問題は見つからなかった。

 ところが、2018年1月に子会社の[1]トーカンがゴム製品の品質データを偽装していた問題が発覚。2度の品質監査は、それぞれ「点検対象に最終製品に組み込まれる製品を含んでいなかった」「業務プロセスの妥当性に関する自主点検にとどまり、個々の品質データの確認までは実施できなかった」(いずれも三菱電機)という杜撰(ずさん)なものだった。