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 日本軽金属ホールディングス(以下、日軽金HD)のJIS軽視の姿勢が明るみに出た。「JIS(日本産業規格)を順守する考えが、日軽金グループ全体で極めて希薄である証拠だ」と、ある品質の専門家は厳しい目で見る。

 2021年7月5日、日軽金HDは子会社の日軽新潟(新潟市)が、日本品質保証機構(JQA)からJIS認証の取り消し処分を受けたことについて謝罪会見を行った。問題は、今年(21年)に入ってこれが日軽金にとって3度目のJIS不正であることだ。[1]日本軽金属名古屋工場(愛知県稲沢市)、[2]日軽形材岡山工場(岡山県高梁市)、そして今回の[3]日軽新潟と、立て続けにJIS不正が発覚しているのだ。

日軽金グループが手掛ける製品
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日軽金グループが手掛ける製品
アルミ合金の総合メーカーとしてアルミ合金の原料から加工製品まで幅広い製品の開発と生産を担う。だが、その中に長年のJIS不正が隠れていた。(出所:同社のパンプレット)

名古屋工場が25年の不正、および「替え玉受験」

 まず、[1]の日本軽金属名古屋工場は、21年5月14日にJQAからJIS認証を取り消された。アルミニウム合金板製品において、JIS規定とは異なる方法で採取した試験片で引っ張り試験を実施していたからだ。

 具体的には、厚さが6.5mm以上の非熱処理アルミ合金の板製品において、JISは圧延方向に対して平行に採取した試験片を使うと規定している。これに対し、同工場は圧延方向に対して直角に採取した試験片を使用して引っ張り試験を行った。にもかかわらず、製品にJISマークを付けて出荷し続けていた。驚くのは、1996年ごろから25年間も同工場がこのJIS不正を継続していたことだ。

 加えて、同工場は20年2月、JQAの更新審査において、いわゆる「替え玉受験」に手を染めた。更新審査用の試験片採取を行う際に、それまで不正試験片を使用し続けていたことを隠蔽。JIS規定にのっとった試験片の採取を行ったが、それがばれたのだ。

 これらの不正行為に、JQAは「JISへの適合性に関する省令に定める基準を満足しておらず、その内容が重大である」と断じ、同工場のJIS認証を取り消した。

日本軽金属名古屋の検査成績書
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日本軽金属名古屋の検査成績書
上がJIS認証を取り消された後の検査成績書。まるでJIS認証品であるかのように思わせる表記をしており、顧客からクレームを受けた。下が、そのクレームを受けて変更した検査成績書。(日本軽金属の資料を基に日経クロステックが作成)

 その後、日本軽金属名古屋工場の往生際の悪さが発覚する。JIS認証が取り消された後、同工場は顧客に提出する検査成績表の「規格」の欄に「JISH4000ジュンキョ(準拠)」と表示。さらに、「種類・質別」の欄には「A5052P」などと、JISにおいてアルミ合金であることを示す「A」と形状を表す「P」の文字も記載したのだ。

 これに「JIS認証品という誤解を与える」と反発したのが顧客である。この事態を受けて、同工場はJISの番号を外して「シャナイキカク(社内規格)」、および「A」と「P」を外して「5052」などと検査成績書に記すことを余儀なくされた。