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 DX(デジタルトランスフォーメーション)とデータ利活用の取り組みを明確に区別している日本企業の割合はわずか14%、大半は区別していない――。2021年6月28日、ガートナー ジャパンが発表したDXとD&A(データアナリティクス)の取り組みに関する調査結果だ。

 企業は社内外のデータを収集・分析することで、事業の予測やリスク管理、顧客へ提供する商品やサービスの改善や効率化などに役立てることができる。このD&Aの取り組みを多くの日本企業はDXの一部として扱っているのが現状だという。従業員2000人以上の大企業の約8割がDXやデータ利活用に取り組むと回答したものの、D&Aの専門部署を設置している企業は15%と少ない。

日本の大企業におけるDXとデータ利活用の取り組み状況
日本の大企業におけるDXとデータ利活用の取り組み状況
(出所:ガートナー)
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 一方、「データ利活用にDXの取り組みを包含している」企業は19%、逆に「DXにデータ利活用を包含している」企業は46%だった。合わせると6割の企業が、「DXとデータ利活用を区別せずに取り組んでいることが明らかになった」(ガートナー ジャパンのリサーチ&アドバイザリ部門データ&アナリティクス担当ディレクター、一志達也アナリスト)。

 世界では大手を中心に、D&Aの責任者であるCDO(最高データ責任者)を設ける企業が増加している。CDOを設ける日本企業も増えているが、DはDでも多くはデジタル、つまりDXなどを担う最高デジタル責任者を指すケースが多く、最高データ責任者を置く日本企業はいまだほとんど存在しないという。一志アナリストは「DXの推進にはD&Aが不可欠だが、その2つを混同すべきではなく、D&AがDXの一部であると捉えるのは誤解だ」と指摘する。

 業務プロセスやサービスをデジタル技術で変革する取り組みがDXだ。「取り組みの範囲は明確であり、活用するデータも取り組みの対象範囲と関連するものに絞られる」(一志アナリスト)。一方、D&Aと呼ぶ活動の場合、対象とすべきデータの範囲に制限はない。「人事をはじめとする社内情報、製造や製品などの情報、自社サービスに関連する社外情報など、様々なデータが収集・分析の対象となる」(同)。

消えるCDO、残るCDO

 一志アナリストはDXとD&Aをそれぞれ独立した別の組織で推進すべきだと説明する。D&Aの成果を出すには、データ分析の専門スキルが必要になる。具体的にはデータモデルの設計やデータベースの構築と運用、データ分析ツールの活用などだ。加えて、会社のビジネスにおけるデータの流れを横断的に把握する必要もある。これらを兼ね備えた専任組織を中心に、IT部門や業務部門の区別なく取り組みを推進すべきだという。

 CDOについては「将来的に最高デジタル責任者としてのCDOはいなくなり、最高データ責任者としてのCDOが主となる」(一志アナリスト)と予想する。企業の業務やサービスにデジタル技術が当たり前のものとして浸透すれば、デジタルによる変革を専任で担う組織はなくなっていくという見立てだ。

 似た例として、電子商取引(EC)サイトを挙げた。黎明(れいめい)期にはEC専門の組織や責任者が設置されたが、現在は販売チャネルの1つとして定着し、特別視せず販売や営業の1部門とする企業が増えている。一方で、データは組織や業務を横断して発生・流通する存在であるため、将来にわたっても独立した組織として存在し続けるとみる。