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 電気自動車(EV)を民主化する――。フランスRenault(ルノー)グループは、EVの低価格化に向けた戦略を発表した(図1)。同グループによれば、EVのコストは4割が電池、1割がパワートレーン、2割が(パワートレーンを除く)プラットフォーム、3割が残りの部分。そのうちの電池パックのコストを2030年までに6割減らし、パワートレーンのコストを同3割減らす(図2)。

図1 ルノーグループCEO(最高経営責任者)のLuca de Meo(ルカ・デメオ)氏
図1 ルノーグループCEO(最高経営責任者)のLuca de Meo(ルカ・デメオ)氏
新戦略を発表するオンラインの記者会見に登場した。(出所:ルノー)
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図2 ルノーグループのEV用電池パックの例
図2 ルノーグループのEV用電池パックの例
(出所:ルノー)
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 電池パックの低コスト化に向けて取り組むのが、まず電池セルの標準化である。NMC(ニッケル・マンガン・コバルト酸リチウム)を正極に使うリチウムイオン電池を標準セルとして、同セルをルノーグループの将来のEVにセグメント横断で利用していく。同標準セルを搭載するEVは、ルノーグループ、日産自動車、三菱自動車の3社連合のレベルで30年までに年間最大100万台に上る見込みだ。

 電池セルとしてはコストが安いLFP(リン酸鉄リチウム)系ではなくNMC系を選んだ理由は、満充電での航続距離(以下、航続距離)当たりのコストが安く、航続距離を長くできる上、電池のリサイクルにも有利だからである。EV用電池のある専門家によると、LFP系のリチウムイオン電池は、高価な資源が含まれていないため、リサイクルしにくい側面があるという。

 併せて、ルノーグループは電池の安定確保に向け、日産が20%出資する中国系電池メーカーのエンビジョンAESCと提携。両者でフランスDouai(ドゥエー)にギガファクトリーを建設する。同ギガファクトリーの年間生産能力は、24年に9GWhで、30年までに24GWhを目指す。ドゥエーは、ルノーグループが電動車のエコシステムとして北部フランスに構築する「ElectriCity」から近い。

 これらの取り組みにより、ルノーグループは電池パックのコストを25年に100ドル/kWh以下に下げ、30年には3社連合内で全固体電池の導入準備を進めつつ同80ドル/kWh未満を狙う。

 これらに加え、ルノーグループは、ルノーブランドや「Alpine(アルピーヌ)」ブランドのCセグメント以上のEVに向けた高性能電池の開発も進める。同グループが出資の覚書を交わしたフランスのスタートアップVerkor(ベルコール)と共同で実施し、22年から同電池セル/モジュールのパイロット生産を開始する計画だ。26年からは第2段階として、ベルコールがフランスに同電池のギガファクトリーを建設し、ルノー向けの初期生産能力は10GWhをもくろむ。30年までに20GWhに拡張する可能性もあるとしている。