公職選挙へのインターネット投票の導入を目指している茨城県つくば市。2021年7月7日、同市は中高一貫校である茨城県立並木中等教育学校(茨城県つくば市)と連携して、全校生徒が投票する生徒会選挙にネット投票を一部導入した。高校1年生に当たる4年生160人のうち130人がスマートフォンを使って投票した。学校での本格的なネット投票は全国初という。
ネット投票は一般に、投票期間であれば投票者がスマホなどでどこからでも投票できる。ネット投票を受け付けるシステムは、投票権を持つ人の「確実な本人確認」と「投票内容の秘密確保」という2つの要件を同時に満たす必要がある。安定した通信環境や投票内容の改ざんを防ぐ仕組みも不可欠だ。
並木中等教育学校の生徒会選挙のネット投票において4年生は、個人所有のスマホやKDDIが貸与したスマホを使った。茨城県が生徒1人ひとりに配布したメールアドレスを「デジタルID」の認証アプリに事前に登録しておき、当日はメールアドレスで本人認証してスマホで投票した。実際に投票した生徒の1人は「簡単に投票できた」と話していた。
投票システムには今回、政治選挙情報サイト「政治山」の運営などを手掛けるVOTE FOR(東京・港、ボートフォー)が企画したシステムを使った。生徒がネット投票したという「記録」と、誰に投票したかという「内容」はそれぞれ別のサーバーに分けて管理。ブロックチェーン技術を使って「記録」を管理し、暗号技術で「内容」を特定できないようにした。投票結果はすぐに自動で集計した。
ネット選挙導入の発端は、生徒が主体となっている選挙管理委員会で、つくば市の職員や同校の教師が導入を持ちかけたことにある。生徒の全員一致で導入が決まり、生徒からは「災害時はどうするのか」「スマホを扱えない高齢者はどうするのか」といった大人顔負けの意見も出たという。