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 屋外での活動時間が長い子供は近視が進行しにくいことが分かってきた。太陽光に含まれる360ナノ(ナノは10億分の1)~400ナノメートルの波長を持つ光「バイオレット光」を浴びる時間が関係していると指摘されている。

開発中のメガネ型医療機器。フレームの内側からバイオレット光を照射する
開発中のメガネ型医療機器。フレームの内側からバイオレット光を照射する
(出所:坪田ラボ)
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 慶応義塾大学医学部眼科学教室の研究グループはこのほど、バイオレット光が近視の進行を抑制するメカニズムを解明した。慶応大学医学部発ベンチャーの坪田ラボ(東京・新宿)が手掛けるメガネ型医療機器や近視進行を抑制する治療の開発に弾みがつきそうだ。

早ければ2024年の販売目指す

 坪田ラボはバイオレット光による子供の近視進行の抑制を目指しており、メガネ型の医療機器の開発を進めている。ジンズホールディングス(JINS)が坪田ラボとメガネ型医療機器について共同でプロジェクトを開始したことを2019年8月に発表済みだ。

 坪田ラボが開発中のメガネ型医療機器は、フレームの内側に照射ライトを搭載し、屋外の太陽光に含まれる平均的なバイオレット光の強さを再現して照射する。2021年中に有効性を評価する「検証的臨床試験」を開始し、承認取得後に早ければ2024年の販売を目指す。

 既に実施した41人の小学生を対象とした「探索的臨床試験」では安全性を確かめた。半年間メガネ型医療機器を装着したところ、バイオレット光に起因する有害事象や不具合は起きず、主要評価項目である安全性が確認された。

 近視の多くの病態は目の前後の長さである「眼軸長」が伸長することだ。探索的臨床試験では副次評価項目として有効性を評価しており、臨床試験に参加した8歳から10歳のグループを解析したところ、装着しないグループと比較して眼軸長などの変化量が統計学的に有意に少なくなることが分かったという。