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 金融庁が2021年6月8日、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)を手掛けるSBIソーシャルレンディング(SBISL)に対し、業務停止命令および業務改善命令を発出した。融資案件の募集に当たって虚偽の記載をしたことなどが理由だ。同社は既に、自主廃業することを表明している。

 第三者委員会の調査報告書によると、ことのあらましは次の通りだ。

SBIソーシャルレンディングにおけるA社への主な融資スキーム
SBIソーシャルレンディングにおけるA社への主な融資スキーム
(出所:第三者委員会の資料を基に日経FinTech作成)
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 発端は2017年5月に遡る。SBISLは、A社が手掛けるバイオマス発電所案件に関するファンドを組成。特別目的会社(SPC)経由で資金を貸し付けた。その後SBISLは、同じA社の太陽光発電所や不動産に関する案件について、次々とファンドを組成して融資を実行し続けた。

 2017年5月~2020年10月までの間に組成されたファンド数は39、融資実行額は約384億円に上る。2020年3月時点で、SBISL全体の融資残高のうち、実に43.8%を占めていたという。

 ところが報告書によると、A社が手掛ける案件はすべて、当初計画に対して大幅な遅延が生じており、工事の完成を期待できる状態ではなかった。しかも、借入金を別ファンドの返済金に充てるといったケースも認められたという。第三者委員会は最終的に、約129億円の融資が投資家への説明とは異なる用途で実行されたとしている。

 A社による不透明なプロジェクト実態などを見抜けなかったSBISLに対して、第三者委員会は、「プロフェッショナリズム・投資者保護意識の著しい欠如が、本件事案に通底する根本原因である」と結論づけた。