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 「製品を生み出すと同時にその終わりまでを考えるのがものづくりだと思います」――。こう語るのは、AV(音響・映像)機器の修理会社「ア・ファン ~匠工房~」(千葉県習志野市)代表取締役の乗松伸幸氏である。

 ソニーの技術者だった乗松氏が2011年に設立した同社は、13年から動物型ロボット「AIBO(アイボ)」の修理を請け負っている(図1)。これまでに修理したAIBOの台数は21年6月までに3000台を超えた。

図1 動物型ロボット「AIBO(アイボ)」
図1 動物型ロボット「AIBO(アイボ)」
写真中央はソニーが2000年に発売した「ERS-210」。先代AIBOは犬型だけでなく、子ライオン型やクマ型など、モデルチェンジするごとに少しずつ異なる外観だった。(出所:日経クロステック)
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公式サポート終了後の受け皿

 ア・ファンが修理を受け付けているAIBOは、1999年に発売した先代モデルである。先代AIBOは何度かのモデルチェンジを経ながら2006年に販売を終えた。合計15万台が売れた、ソニーを代表するヒット商品である。その後、同社は14年に公式の修理サポートを打ち切った。

 ちなみに、同社が18年に発売した現行の犬型ロボット「aibo(アイボ)」は、いわば2代目にあたる(図2)。先代と比べて関節の自由度が増えた他、クラウドサービスへの接続機能などが大きな違いになっている。

図2 現行の2代目の「aibo(アイボ)」
図2 現行の2代目の「aibo(アイボ)」
発売は2018年。ソニーは販売と公式サポートを継続している。(出所:日経クロステック)
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表 AIBOの修理に関する動き
(日経クロステックが作成)
動き
1999年先代AIBO発売、2006年までに複数のモデルが販売される
2006年先代AIBOの生産終了、累計販売は15万台
2011年ソニーOBの乗松伸幸氏が修理会社ア・ファンを設立
2013年ア・ファンで初めてAIBOの修理を請け負う
2014年先代AIBOの最終モデルの公式サポートが終了
ア・ファンへの修理依頼が増える
2018年現行の2代目「aibo」発売
2021年ア・ファンによる先代AIBOの修理が3000台を超える

 ア・ファンの修理サービスは、公式サポートの対象外となった先代AIBOの「飼い主」にとって助け舟になっている。修理サービスの名称は「愛慕(あいぼ)ドック」。修理料金は型式によって違いがあるものの、おおむね同じだ。

 例えば、子ライオン型の「ERS-210」の場合、動作点検の料金は1回あたり1万2000円(税別・以下同)、分解・修理は3万円から受け付けている。修理箇所が2カ所以上であれば、1カ所あたり5000円ずつ料金が増えていく。その他、愛慕ドックでは年会費2万円(税込み)を支払うと毎回の修理料金が安くなる会員制のプランも用意。熱心なユーザーの需要に応えている。