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 富士通のドイツ子会社Fujitsu Technology Solutions(富士通テクノロジーソリューションズ)が、組み合わせ最適化問題に特化したコンピューター「デジタルアニーラ」を用いて、コロナ禍におけるスタジアムの座席配置を最適化できるか検証した。デジタルアニーラによって、既存の方式よりも販売できる座席が増えることが分かった。

 検証結果は富士通テクノロジーソリューションズが2021年6月15日に発表した。同社はドイツのベルリンオリンピックスタジアムやサーキット場のニュルブルクリンクにおいてコロナ禍で開催されたスポーツイベントのチケット販売データを使用し、ソーシャルディスタンスを保った状態で顧客の座席を割り当てる最適化問題をデジタルアニーラに解かせた。

 コロナ禍でのチケット販売においては、家族や友人などグループ客の座席割り当てが課題となる。ドイツでは観客のソーシャルディスタンスを保つため、グループ間の距離を1.5メートル以上離したり、地域の新型コロナ罹患(りかん)率に応じてグループ当たりの上限人数や構成を制限したりするといった規制が存在する。

 実際にドイツで2020年から実施されたチケット販売においては、グループ客については2人単位で座席を割り当て、その左右に3席、前後に1列分の空席を確保するとのルールを適用していた。グループが3人以上の場合は2人と1人にするといった具合に、グループを分割していた。

デジタルアニーラで座席利用率が改善

 この割り当てルールの問題点は、グループの人数が奇数の場合に未使用席が発生することだった。3人の場合は2人と1人に分割し、その前後左右に空席を確保する。本来2人座れるスペースが1人となり、未使用席となっていた。そのためこの割り当てルールの下にチケットを販売した場合、全体での座席利用率は38~45%にとどまっていた。

 それに対してデジタルアニーラを利用して座席割り当てを最適化すると、座席利用率が47~60%に高まるという検証結果が出た。より多くの座席を割り当てられるようになり、販売収入の増加も見込める。

座席割り当て検証結果の比較
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座席割り当て検証結果の比較
(出所:富士通)

 デジタルアニーラは組み合わせ最適化問題を「イジングモデル」と呼ばれる統計力学モデルで表現し、その安定状態を探索することによって問題を解く。富士通はデジタルアニーラについて、量子アニーリング方式の量子コンピューターから着想を得たとしている。